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世界の終わりに立つ(SC)



蒼い地平線、それが溶けて、歪んでゆく。


橙が黒く侵蝕してゆく空に、世界の終わりに立った様だ、と抱懐した。








世界の終わりに立つ










「世界が終わるそうです」











ほつりと漏らしたつもりが、やけにくっきりと浮き出てその場に響いた事に、自分でも少なからず驚いた。




逢魔ヶ時
橙と蒼が交わる帷の前触れ、

肌寒さが突き刺さる時




息を呑んでしまう様な光景に、このまま星が、世界が、呑み込まれてしまう、と思った。









「そうか」








おれの唐突な預言ともとれる発言に、彼は只それだけの淡白な返答しかくれない。



動揺するとも何時もの様な人を蔑む様な笑みも寄越さず、只只彼は今にも消え失せてしまいそうな光を見つめて居た。








彼の光が、まるで尊いイコンだとでも云う様に―――――






柔い風に靡く白銀の髪に細い光が綺羅綺羅と反射し、光を見詰める彼の姿は、天上から神託を受けた使徒にも世を憂いた審判者にも見れた。










「ならば、お前は世界が終末を迎える今、此の瞬間、何をする」








まるで此が最後の審判、とばかり。彼が投げ掛けた問いは人間誰しも人生で一度は考えてしまう、定番ではあるが各々のパーソナリティを問われる至極難解な物であった。


しかしながら、おれにとっての此の質問は至極明快であり、常人よりもハイスペックな脳を持つ彼からすれば此の様な質問はものの数秒で解る様なものである。



はて、とは思ったが此処は彼の遊戯に付き合おうではないか。
但し先に応えるのは些か癪である。少しは焦らさなければ。








「セフィロスさんなら、何をしますか」









のらりくらり。問いには問いで。






「天の邪鬼だな」






素直じゃない、なんて聞こえた気もするけど それには応えない。


ほら。やっぱりおれの言葉なんて解ってた癖に。

なんだか彼は嬉しそうに笑ってるし。








「俺は―――」





未だ地平線を見据える彼に深い影が落ちた。
それに比例して細く長い光が更に鋭く大地を、世界を照らす。







「俺は。世界が終わろうと終わるまいと、お前と居られれば、其れで良いさ」










彼の仕掛けた戯言は矢張り彼の言葉でチェックを迎えた。


最後の光の中、彼は其れは其れは此の世のものとは思え無い程の奇麗な微笑みを浮かべたのだった。







お前は?なんて、解っているだろうにどうしても言わせる気らしい。勝敗は明白だというのに。


多分に甘い言葉をおれから言って欲しかったのだろう。






そう、答え等同じ









「うん。おれも――あんたと居られれば、其れでいいよ」











世界が終わろうと終わるまいと





そんな事は関係無い




其れに世界は








何時かは終わる
















曖昧な時事と希薄な人間性を目指しました

20100217

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