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私有行使許可(SC)


今日は早いな



否、“も”か



執務室での彼の第一声はそれだった。




私有行使許可




「真夏ですからね。御上が兵士に無理をさせて駒が使えなくなったら困るからでしょう」



鼻で笑ったようないつもの彼お得意の言い様が、何だかこの日ばかりは不愉快に感じて自分でも卑屈だと思う物言いになった。



俺の発言に、社でも御上のポストの彼は面食らったらしい。らしくもなく一瞬ぽかんとしていたが、そのうち彼本来の“らしい”底意地の悪い笑みを浮かべて、まあなと答えた。




「お前はほんと面白いな」


「どのあたりがですか」



俺は貴方と違って凡人ですが。


そう言ったらまた笑われた。
不快な笑い方じゃなかったけれど。

でも感には障った。


この人との会話は要領を得ない。
元々英雄なんて言われている人物だ。
人の話なんてお構い無しな気がある。話の脈絡が無かったり、勝手に解釈されていたりする事が度々ある。


まあザックスが言うには
「お前にはまだマシ」らしいが。
普段はどんだけ破綻してるんだ。





「そう言う処。自分が如何に特別か分かっていない処」





俺が来て集中出来なくなったらしい。いや、もしかしたらとうに退屈だったのだろう。


彼はさっきまでデスクに着いてつまらなさそうに書類に判を押し付けていたのを止めて、窓の外の太陽に不愉快だと云わんばかりの睨みを効かせて言った。






季節は真夏だ。
太陽はジリジリと照りつけて神羅のビルも訓練場も熱す。
俺も数分前までその只中に居た訳だ。
訓練が終わり、ビルの中に退避するとまるで天国の様だった。中と外は雲泥の差。天国と地獄。正にそれ。




「確かにお前は一般兵で、社からすれば使い捨ての駒なのかもな」



彼は依然窓の外の太陽を睨んだ儘。

貴方が幾ら睨んだって何も関係無いでしょうに。

いつも空調の利いた専用執務室。天国にいる貴方が。
どちらかと云うと俺がそうする権利があるだろうに。





「だがな




俺が困るんだ」




彼は太陽から目を離していた。



「…………は?」




困る?何が?
彼の言葉が呑み込めなかった。




「そう言えばな、クラウド。お前にプレゼントがあるんだ」





俺の困惑など露知らず(わざとスルーしている可能性もゼロでは無いが)彼はにこにこ笑ってる。


非常に“らしくない”。



非常に



非常によくない



「な…なんですか」




俺はどうにか言葉を搾り出した。又は絞った。
何だか背中を嫌な汗が流れている気がする。冷房で汗は乾いた筈なのに。



彼が奇麗な笑みを造った







「今日一日、俺を自由に行使出来る権利をやる








………………………………は?

この人は

こいつは




なんて言った?




俺の混乱もやっぱり無視して彼はまた独壇場に立った。









「何だお前。今日は何の日だか忘れたのか」




「今日は
















お前の誕生日だろ










え……あ、

















英雄→クラウド
阿呆な英雄前提
しかしこの後特に何も無くザックスも来てケーキ食って終わり、とか(笑)
20090822脱稿

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