祝福の声(C+子供達/AC後)
彼女の声が聞こえた気がした
――――
――――――――!
何だよ、うるさいなぁ
どうしてあんたは朝っぱらからいつもそんなに元気なんだよ
――――――!
クラ―――ド
クラウ―――――
もう、朝ですよ―――
―――起きてくださーい
嗚呼 なんだ
エアリス、あんたか
「クラウドっ!!」
心地良い眠りから自分の名前を呼ばれ、意識が浮上する。
さっきまで懐かしい夢をみていた気がする。とても懐かしい、幸せな。
億劫に思いつつも重い瞼を開けて捉えた眩しい光に目を細めた。
暫くして光が柔らかくなってきた頃に視界に現れたのは小さな茶色の瞳。
「……マリン?」
まだ円滑に思考しない頭を稼働させて漸く自分の胸又は腹の上にある圧迫感に察しがついた。
「そうです!朝ですよ!起きてくださいっ」
マリンは俺の間の抜けた返事に腰に手を当ててくすくす笑っていた。小さな塊が俺の上でぽんぽんと跳ねる。
もうそんな時間なのか。
起きなければ。
そうは思うが昨日は深夜に…正確に云うと今日の早朝に配達から帰ってきたばかりだ。正直眠い。もう少しばかり寝ていたかった。
「マリン…もう少し」
「だーめーです」
小さな少女は有無を言わさず俺の交渉に聞く耳を持たない。
「今日は大事な日なんですからね!」
思わず不満な顔をしてしまうとマリンは、俺を宥め賺す様に澄ましてそう言った。
こういう時のマリンはティファにそっくりだ。
最近は特に似てきた。
家族は似た者とはよく言ったものだが一家にティファが二人いるとなると多少厄介だ。
確かに四人家族で男二人女二人のイーブンな筈なのだが。この儘ではいつか男子の権力は弱くなるだろう。否、既に兆候はあるが。
そう思わず苦笑いしてしまうと、それを見逃さなかったマリンが声を上げた。
「あー!ほらほら起きてー!!」
俺に起きる気が無いと思ったのだろう。小さな体が催促するように更にぽんぽんと俺の腹の上で跳ね出した。
これはもう説得は無理であろう。俺は半身 身を起こした。
「あー!!マリン!一緒に起こしに行くって言っただろー!!」
なんで先に行くんだよー
そう喚きながらどたどたとデンゼルが寝室に走ってきた。
「だってデンゼル遅いんだもん!!」
先程の澄ました行動とは打って変わって今度は拗ねた様に言うマリン。
本当に、子供はころころとよく表情を変えるものだ。見ていて飽きることがない。
だってー。そうは言いつつも言い返す言葉がないらしい。デンゼルは俺のベッドの上に上がってくる。
「じゃあ今度は一緒に言うからな」
分かってるってば。と何やらごにょごにょと俺の目の前で打ち合わせを始める子供たち。
暫くするとどうやら話し合いはまとまったようだ。
二人が俺の方を向いた。
そうしてデンゼルが緊張した面持ちで息を吐く。
「じゃあいくよ…
いっせーのーで
「「HAPPY BIRTH DAY CLOUD!!」」
子供たちの声が響いた
祝福の声
ティファも出そうかと思いましたし、もうちょいエアリスも出そうかと思いましたが切りよくしました。
20090822脱稿
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