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否、否、否(AC前C独白シリアス)

今はその声が、もう聞こえない



否、否、否





贖罪の為に生きている。


今の俺はそうなんだろう。
過去の為に生きている、そう言ってもいいのかもしれない。


前に進む事も、後に引き返す事も出来ない。


明るい未来が描けない。
失ったものが、多すぎた。大きすぎた。重すぎた。


かつての優しい、優しすぎる思い出が逆に今の俺を縛って、苦しくする。



今の俺は、只、生きている。

只、生きている。否、只生きている事は死んでいる事と同じだ。
生きながら、死んでいる

しかし、本当に死ぬ勇気も無い。
この喉に刃を突き付ける意志も、無い。
その気さえ湧かないし、失せた。
只只生と死の狭間に宙ぶらりんと座す。



沢山の人を失った。
否、踏み台にした、見殺した。
それ程の命を犠牲にしてきているこの命。
どれほどの価値があるのか。否、どれほどの価値があったのか。



この無力な手を取ってくれた

あの笑顔も

あの声も

あの眼差しも



がんばれよ!

任せて




生き抜け、生き抜けと言ってくれたその声が


今は、聞こえないんだ



ただ聞こえるのは



“アイツ”の、声







(生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ)





20090705
(『ハムレット』シェークスピア著より引用)
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ほんとに消化不良で推敲するべきかアップするべきか消してしまうべきか物凄く悩みました。
そして選んだ結論は二行(引用文前)付け足してのアップ。
最後に対となる“彼”の存在を匂わしての幕引きにしました。

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