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赤(オーハセ)


「ハセヲ」

名を呼べば、すぐにこちらに振り向いた

愛らしい、愛しい子供。

「おいで」

呼べば嬉しそうに顔を綻ばせた。

「何、いきなり」

疑問の言葉を口にしつつもこちらに足を運んで来る。
温もりを確かめたくなって線の細い、まだ未発達の身体を抱き締めてやった。

「もしかして、あんたって寂しがり屋?」
「かもな」

答えてやったらくすくすと笑いながら、くすぐったそうに身を捩った。

「似合わないな」
「そうか」

悪戯だが、無邪気な瞳を向けてきた。
無邪気な、親愛と尊敬の眼差し。


俺を殺すことのできるの、そので。


―――呑まれる


を見つめれば、鮮血のような深いに思わず吸い込まれそうな感覚に陥る。


――今すぐに呑まれる、と。



「オーヴァン?」

気付けば、心配そうな声で呼ばれていた。

「どうした?」
「…いや」

何か悪いことでもしたのではないかと、不安そうにこちらを見つめてきた。

今までの考えを誤魔化すかのように、額に口付けを落としてやる。


本人は無自覚、なのだ。
自身の力のことなどは。


しかし、そのうち嫌でも判るだろう。
そので俺を憎み、俺を斃すことを――


嬉しそうにが細められた。


思う。
そので殺されるのなら本望だ、と。









10.21脱稿 11.05修正

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