落忍SS
可愛くて仕方ない(文仙)
「どうしたんだ仙蔵。その格好は。」
戸を勢いよく開けて入ってきた仙蔵の表情は怒りに満ちていた。
服もボロボロだ。
「何でもない。」
真っ白の顔色はそのままに眉間にシワを寄せ、ドスンと床に座る。
「風呂に入ってきたらどうだ?落ち着くぞ。」
文次郎が呼び掛けるも、仙蔵は何も言わず苛々とした様子で本を読みはじめた。
ふむ。
仙蔵は構って欲しくない時などはまず部屋には戻らないし、戻ってきても完全に近付くなという雰囲気を醸し出す。
そしてさっさと風呂に入って寝てしまう。
しかし今は苛立ちを隠さずも自分の傍にいる。
空気は冷たさを纏っていないようだ。
「仙蔵。」
呼ぶと同時に耳元から髪に指を入れてそっと髪を梳かす。
ピクリ、仙蔵は肩を揺らすが本から目は離さなかった。
思った通り。
機嫌の悪い時だったら罵倒と鉄拳が飛んでくる。
髪に差し入れた指を後頭部まで持っていき、自分へと引き寄せた。
「…今日何があった?」
胸に閉じ込め聞くと、仙蔵は文次郎の胸に額を少し押し付ける。
「一年は組の…、」
仙蔵がそこまで言って、文次郎は吹き出した。
「文次郎…。」
仙蔵の声色はかなり怒りを含んでいる。
「…すまん。あいつらか…大変だったな、仙蔵。」
柔らかく指触りのよい髪を撫でながら労いの言葉をかけた。
仙蔵は何も言わない。
しかし、右手で文次郎の服を掴む。
文次郎は口元だけで笑った。
これが仙蔵の甘え方なのだ。
「可愛いな、お前。」
囁くと、仙蔵が文次郎を勢いよく引き離し、
「なんだと!」
そう叫んで顔を上げた。
「……っ、」
同時に隙をついて、唇を奪う。
仙蔵は少しの抵抗をしたあと、すぐに力を抜いてされるがままになった。
いつも冷静な仙蔵も、この時ばかりは甘い。
文次郎は口づけの途中で唇を離す。
仙蔵は不満げに、しかし欲が滲み出る瞳で文次郎を見詰めた。
「もう遅いから風呂に入って来い。お前と話したいことがあるから、寝ないで待ってる。」
待ってる、そう言った時に親指で仙蔵の唇を撫でた。
仙蔵はぴくっと体を揺らし、白い顔を少しだけ赤らめて立ち上がる。
そして部屋を出ていく直前に、
「…寝るなよ。」
振り返らずにそう言って走って行った。
文次郎はそんな仙蔵の後ろ姿を見ながらクスクスと笑う。
「本当…、」
可愛い奴だ。
文次郎は仙蔵の読んでいた本を読みながら、仙蔵が戻って来る時を待つ。
********
ツンデレ仙様
文次郎がかっこよすぎたかもしれない。
私はどうしても攻めがかっこよくなってしまうやだやだ;;
…きりちゃんは違うか。
次は仙文を書きたいな
俺様仙様な感じかな〜
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