落忍SS
お互い様(食満文)

突っぱね合っていた二人は、いつからか惹かれ合っていた。


言葉すら交わさないが、雰囲気がそうと纏って何かの弾みで口付けをした日から、二人は恋仲になった。


喧嘩はしょっちゅうなのに、自然と二人は近くに居て。


背中越しに見える後ろ頭に酷くときめきそして安心した。


今日も、そんな背中合わせに座る二人が木陰にいる。


ふと、


ふと確かめたくなった。


好きという何か確かな手応えが欲しくなった。


不意に留三郎が振り向く。

背中合わせに座っているために、振り向けばすぐ近くに文次郎の頭が見えた。


留三郎が振り向いた気配がしたので文次郎も振り向いたが、ぎくり、とそのまま固まってしまう。


何故ならもう、あと少しで唇と唇が触れそうな距離に留三郎がいたからだ。


声も出せなくて。


でも動けない。


動き、たくない。


(出来ればこのまま唇を合わせられたなら)


なんて思うこの気持ちを悟られたくはなかった。


ふわり、


少し渇いた唇が触れた。



「こう、したかったんだろ。」


にやりと右だけ上がる口角に。


「誰が。」


言ったものの染まる頬が熱くて、自分でもわかった。


「顔、真っ赤。」


言われても恥ずかしくなかったのは、


「お互い様だ。」


目の前の頬も染まってたから。



きっと二人、気持ちも同じだと思った。


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そして不器用にはにかむ二人なんだ!

か、かわいい!←一人妄想で悶える変態

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