落忍SS
蝋燭に揺れる (文仙)

夜中、文次郎は疲れた身体を風呂で癒した後、部屋へ戻った。


部屋に着くと、仙蔵が布団に入って俯せになり何やら本を読んでいる。


「まだ起きてたのか。」

静かに問えば返答はなく、代わりに規則的な寝息。


本を読みながら眠ったのか。
蝋燭をつけたまま、危ないことを。


文次郎は静かに仙蔵の枕元へと歩み寄り、蝋燭の火を消そうとした。

が、ゆらゆらと揺れる橙に照らされた仙蔵の顔を見て、手は止まる。
今の仙蔵は、昼間見るより数段美しく、妖艶だった。

さらりと舞う艶やかな黒髪が誘うように輝る。

切れ長の瞳から流れる長い睫毛は女のよう。

整った唇は、薄いが張りがあり、煽るには充分な色気を放っていた。

吸い込まれるように唇を合わせる。


柔らかい感触。


眠っている人間に口付けなどしたことはない。

何か、いけないことをしたような気になる。
けれど、身体の中から熱が燻りだす。


ふ、と息を吐いてその場をやり過ごし、蝋燭の火を消した直後。


「お前にしてはなかなかだ。」


そう言われ、ぐいっと頭を引き寄せられた。


「…起きてたのか。」

多分、仙蔵の唇すれすれだろう。
吐息が唇にかかった。


「お前が戻って気付かないわけがないだろう。」


まさかお前から口付けをされるとは思わなかったが、


そう言って仙蔵はクスクスと笑った。


「もう何も言うな。」


「あぁ。もう少し…動けるだろう?」


文次郎は返事の代わりに唇を落とした。




************

初文仙…!

ドキドキ。

仙蔵様は誘い受け
文次郎は疲れてても頑張ります笑

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