COLORFUL LOVER SS
凌の爽やか子猫ボーイ響観察日記
***第二章【意識】後、教室へ戻ってきてからのお話***
気付いたら響が俺の髪の毛を撫でていた。
……何で?
響は明らかにトリップしている。
考えなくてもわかるけれど…栞絡みだろうな。
そういう自分も先程まで栞とのやり取りを何度も思い出していた。
栞から可愛いと言われたこと。
抱きしめられたこと。
自分の子供っぽい反応と対応。
恥ずかしくて死にそうだけれど、栞から抱きしめられたときの感触がリアルに蘇ると心臓がおかしいくらいに跳ね上がる。
気持ちを落ち着かせて響を見た。
俺より教室に戻ってくるのが遅かったってことは多分また栞のとこに行ったな。
うーん、俺の行動が気になって保健室にすぐ戻ってきてたかもな。
俺を見ているようで見ていない響の表情はぼんやりしていて、頬に赤みがさしているものの、切なげに大きな瞳が揺れていた。
何を考えているんだろう。
響をじっと見ていると、じわりと目の周りが赤く染まって、涙が溢れ出しそうになった。
泣く!?
と思った瞬間ほろりと一粒涙を落とした。けれどきっと誰にも気付かれていない。
俺が落ちる前に拭い取ったから。
目隠しするフリしてね。
『わっ何急に!』
慌てる響は酷く驚き、涙を見られたことに気付いて赤くなっていた。
『泣き虫。』
そういうと、ぐっと唇を噛んでそっぽを向いてしまった響は、弱々しく
『凌にはわかんないよ、僕の気持ちなんて。』
と言う。
『もどかしい気持ちは一緒だって。』
そう俺が告げると、ハッと顔を上げて俺を見た。
『…僕負けないよ。』
言葉とは裏腹に眩しい笑顔を向ける響。
そして、
『凌大好き。』
照れたように言った。
『バーカ。』
何言ってんだこいつ。
俺だって負けないよ。
自分の口元が緩んでるのに、少しの間気付かなかった。
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