COLORFUL LOVER SS
嫌いにだけはならないで(柊→栞)
***第二章【微熱】より***
side柊
栞の兄の漣が、栞に囁いた単語。
"キスマーク"
それを聞いた俺は思考より先に体が動いていた。
部屋に勝手に入るし、栞を抱きしめたり触ったりやりたい放題だ。
こんなことしたって栞から嫌われるだけだってわかってるし、自分勝手なのは重々承知だ。
だけど、キスマークなんてつけられるってどういうことだ。
身体を許してる奴がいんの?
……俺と別れてまだそんなに経ってなくない?
てゆーか俺やっぱり好かれてなかった…?
考えるだけで泣きそうだ。
俺は別れて毎晩のように泣いている。
自分はわからないんだけど。
夜中起きたらいつも泣いてて、朝起きても泣いてて、意味わからない。
夢なんて覚えてないんだけれど、でも、胸が苦しいのだけ残ってる。
栞から別れた理由を聞かれて答えて泣いて、泣き落としみたいなんだけど、無茶苦茶言う俺になんだかんだで結局栞は優しくて、身体を重ねた。
栞の肌は気持ちが良くて、手放すべきではなかった事を再確認させられた。
栞が俺をちゃんと好きだったこと、然とまた出会っていたことを知った俺は自分の選択を後悔するしかない。
ねぇ、好きだよ?
好きなんだ。
栞を信じて信じ過ぎて、そんな自分が怖いんだ。
きっと本気で拒否をされたら俺は壊れる。
『俺も決めた。
なんか吹っ切れた。
もう栞の言うことは聞かない。
んで、もっかい付き合う。そしたら絶対離さない。
……今からヤる…!』
強気な言葉の裏側は脆い。
まだ、怖い。
でもどうか、嫌いにだけはならないで。
お願いだから。
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