「武君、好きです!!!」
「ごめんな〜」
「あ、あのっ!!」
「あぁん?」
「ひっ、なんでもないです!!、ごめんなさい!!」
『並盛大学の王子様』。それが、武と隼人についたあだ名(?)だった。わかりやすく言えば、今年のミスター並盛大学に選ばれたのだ。(前年度は卒業していった某委員長がぶっちぎりで一位)
王子様と言えば、紳士的で優雅、それでいて危険な薫りを漂わす女子生徒の憧れ。(並盛大学広報部調べ)
今年のコンテストは票が大きく二分された為、例外として二人の王子様が誕生した。
だが、選ばれたからといって二人がサービス精神に目覚める訳もなく、これからも失恋人口は増えていくのだろう。
「ということで、モテまくり王子達に、アンケートを受けてもらいまーす」
広報部(というかサークル)に在籍している黒川花が、とても面倒臭そうに二人に言った。
そもそも、ほぼ同い年である彼らの好みやら何やらを聞いたとしても、年上好きの彼女には全く価値のないものなのだ。
「あー、黒川、それってミスターの義務?」
「別に?答えたくない質問には答えなくて結構。・・・・・ちょっと、タバコ止めてよ、煙くる」
ヘビースモーカーである隼人は、舌打ちをしながらも、大人しくタバコを片付けた。彼が、黒川の事を数少ない友人として見ている証拠だった。
「んじゃ、手っ取り早く聞くけど、好きなタイプは?」
「はは、ホントにストレートなのなー」
「・・・・・・とりあえず、五月蝿くて軽くて馬鹿でちゃらちゃらしてる女は、ぶっ殺したいぐらいうぜえ。」
「俺は、一緒にいて楽しいんだったら、タイプとかないな〜」
具体的そうでいて、イメージがつかみ難い二人の解答に、黒川はため息をついた。
「・・・・・もう、いいわ。私も悪かった。質問形式かえるから、聞いた事の好きな方、選んでね」
「ラジャー」
能天気な武の返事に、黒川は「やっぱ、同い年はガキだわ・・・・・」と再確認させられた。
「はい、んじゃいきます。黒髪と茶髪、どっちが好き?」
「俺は茶髪。あ、なるべくなら地毛でな」
「おい、てめぇパクんなよ!!!」
武につかみ掛かる隼人を制して、黒川が質問を続ける。
「かわいい系と美人系、どっちがいい?」
「かわいい系!!」
「俺もなのなー」
また意見が一致して、隼人はギロリと武を睨む。
「性格はどんな感じが好き?」
「んー癒し系?あと、優しくて素直な頑張り屋がいいなー」
「俺は、温かくて家庭的で、慈愛に溢れていて、健気な性格が好きだ」
「・・・・あんたらねぇ・・・・」
表現は違っても結局同じような性格だろ、それ。
(ていうか、タイプとかそんな問題じゃない)
「(まぁ、いいや)はい、次。動物に例えると、どんなやつ?」
「ん〜、ハムスターじゃね?」
「子猫に決まってんだろ!!野球ばか!」
「(決まってんのかよ)はいはい、進めるわよ。巨乳派?それとも気にしない?」
この露骨な質問には、流石の二人も悩むようだった。
「・・・・B・・・・?くらいか?」
「ばっ、てめっなんていやらしい目で見てんだよっ」
「あー、でも最近大きくなった、かな」
「ぎゃー!!!この野郎、果たすぞ!!」
本格的に戦闘態勢に入ってしまった二人には、流石の黒川も止める事は出来ない。
「・・・・・てか、それお前らの妹だろ」
結局、このアンケート結果は、大学新聞には載せられないと判断された。
君が理想です
今回もまた、ディーノさんの出番がない・・・・!
そしてツナも出てこない。
代わりに、獄寺が少し優しい・・・・