あいつと初めて会った時、
「こいつ悪魔だ!!」と確信した。
ある日、隣に引っ越してきた同い年の男の子を紹介された。人見知りが激しい俺は、母さんのスカートに隠れながら、精一杯の挨拶をした。
「・・はじめまして・・・・つな、です・・・・・ぅ」
それに対して奴は、あろうことか、初対面の俺に、ものすごい目力で睨んできたのだ。
俺は、泣いた。
互いに4才の、春の事だ。
幼稚園のお遊戯会の時、俺は練習も空しく、踊りの途中にこけてしまった。
涙目になりながらも起き上がると、奴と目が合った。
「・・・・・・・・はっ」
奴は悪魔も真っ青なくらい見下した瞳で、俺を嘲笑ったのだ。
俺は泣いた。家で。
その時、奴も遊びに着ていて、黙って泣くのを見ていた。
それが、初めてあいつと過ごした、秋の思い出だ。
それから奴とはいろいろあったが、俺達はなんだかんだで一緒にいた。
だが、そんなあの悪魔との縁も、今日で終わりだ。
これでもう、奴のスキンシップに耐えたり、好きな子を横取りされたり、遊びに来た後に紛失物が増えているという、数々の悩みからも解消されるのだ。
「・・・・そういえば、前に無くしたシャーペンが、あいつの部屋にあったなんて事もあったな・・・・」
思い出せばいろいろと不思議な奴だった。
頭がものすごく良いのに、学校はいつも同じところだった。
彼女(愛人?)が沢山いるのに、バレンタインデーやクリスマスイヴの時とか俺と街をぶらぶらしたり。
奴以外の誰かとしゃべるだけで、機嫌があからさまに悪くなっていたり。
「・・・・・・・・淋しがり屋・・なのかな・・・?」
奴は、淋しかっのかもしれない。
今まで同じ学校だったのだって、新しい友達が作れるか心配だったのかも・・・・・。
「いや、それはないな!!」
奴が淋しがり屋ならば、俺なんかは、かなり前に淋しすぎて死んでいるだろう。
「とにかく、ぜってーゆるさねー!!」
事件は今日の朝に起きた。
日曜だというのに、なぜか家に遊びに来て、何故か今だに寝ていた俺の部屋に奴はいた。(母さんによると午前9時)
そして、俺が目覚めるとかなり整った幼なじみの顔が目の前に。(当たり前だか驚いて固まった)
そして、その20秒後。
「ぎいゃぁぁぁ!!!!」
俺の悲鳴が家中に響いた。
奴とはもう絶交だ!!!
「俺のファーストキスをよくも・・・!!リボーンの奴、絶対に許さない!!」
俺とリボーンが、高校二年生の春の事だった。
奴は、悪魔