└B
「ぐすっ…ひっく、」
あれから俺はどのくらい泣いていたのか。
目はパンパンに腫れていて、瞼が重かった。
けどその人は、ずっと俺に付いていてくれた。
“お前さんは1人じゃないんだよ”
そう語りかけるように、優しく俺の頭を撫でた。
俺の心が、ほんの少しだけど、確かに満たされた。
―――これが、俺とお登勢さんとの出会い。
お登勢さんの紹介で、俺は銀魂高校に転入した。
親戚達ともさよならして、1人暮らしを始めた。
俺の、新しい生活が始まった。
「―――、葉月!」
「…ん…ぎんぱち、」
「俺の授業で寝るとはいい度胸だな」
俺が今ここにいるのは、お登勢さんと、包帯だらけの俺を何も思わずに受け入れてくれた、Z組のおかげなのかもしれない。
「ぎんぱち…」
「あ?何だよ」
俺が今笑っていられるのは、
「つまんねー授業やるよりもよぉ…視聴覚室貸し切ってAV鑑賞しようぜ」
「お前国語の成績が1になるの覚悟しとけよ」
非常識な先公と、非常識なクラスメート達の、
おかげなのかもしれない。
decorso(ディコルソ):イタリア語
意:過去の,過ぎ去った,経過した
主人公が暗い過去を持っているのってかなりベタですが、そういう奴が好きなんです
080801
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