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├A


ある日、俺はいつものように不良達と喧嘩をしていた。

1対10。

勝てるはずもなく俺は、殴られ、蹴られ、その場に倒れた。


気づくと俺は、暗い路地裏に捨てられていた。
身体中土まみれ血まみれで、ぼろぼろだった。

何故か笑いが込み上げてきた。
もう、生きているのが、馬鹿らしくなった。

俺は、その場に落ちていたガラス瓶の破片で、腕を切った。
不思議と痛みは感じなかった。

(…あ、遺書書くの忘れた…ま、いっか…どうせ書く事ねぇし、読んでくれる人もいねぇし…)

俺は、目を閉じた。











「…ん…、」

目を開けると、白い天井。薬品の匂いが鼻につく。
身体のあちこちには包帯が撒いてある。


(病院…か)


誰かに助けられたのか、俺は生きていた。

その証拠に腕に痛みを感じた。
いや…腕よりも、心が痛かった。




「目が覚めたかい」

病室の扉が開いて、1人のお婆さんが入ってきた。


「アンタ、うちの裏で倒れてたんだよ。ゴミみたいにねェ」

病院内は禁煙だというにもかかわらず、その人は煙草をふかす。

「…んで…何で、俺なんか助けたんだよ」

俺はその人に向かって言った。

「…その腕、自分でやったのかい」

「悪いかよ…っ!俺みてぇな奴、生きててもどうせ迷惑なんだ!死んだ方が、【バシッ!】…っ、」

俺はその人に叩かれた。

「ガキがナマ言ってんじゃないよ。自分を傷つけて、勝手に死のうとして…とんだ親不孝者だね」

「…っ…」

涙が、出た。

虐待されても、喧嘩に負けても、絶対出ることのなかった涙が…出た。
叩かれた頬が、物凄く痛かった。




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あきゅろす。
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