夜空に橋を架けよう!
不幸はその人の偉大さを証明するものである。(パスカル)
俺の辞書に不幸なんて言葉はねぇ!(日向葉月)
自信過剰ォォ!(志村新八)
malevolo!
03〜galassia!〜
「なぁ銀八、何で俺らこんなガキみたいな事やってんの」
「アレだよアレ…ババアの企画」
「お登勢さんか…あの人季節の行事とか好きだよな」
「年寄りは季節を重んじるからな。節分然り、クリスマス然り」
「クリスマスはどっちかっていうと若者だろ…」
「んな事より早く書けって、願い事」
七夕前日。
銀魂高校では、理事長が計画した七夕祭りの準備をしていた。
祭り、といってもただ生徒が願いを書いた短冊を笹に飾り、屋上に置くというだけの事なのだが。
そして3Zでは現在、その短冊に願い事を書く作業をしているのである。
「願い事なんていきなり言われてもなー…あ、トシは何て書いた?」
「ふっ、俺はコレだ」
葉月は隣にいた土方に問うと、土方は誇らしげに短冊を見せた。
“マヨネーズがこれ以上値上がりしませんように”
短冊にはそう書いてあった。
「…おま、そりゃねーだろ…」
「まじキモいでさァ土方さん」
葉月は呆れた顔で言う。
すると後ろにいた沖田も口を挟んだ。
「総悟は?」
「俺はコレでィ」
沖田はニヤリと意味深な笑みを浮かべながら短冊を見せた。
“土方コノヤローが早くこの世を去りますように”
沖田の短冊にはそう書いてあった。
「いい願い事だな。叶うといいな」
「何でだよ!?つーか総悟テメェ何書いてんだァァ!」
「んじゃ俺は世界征服にしよっ」
「スルー!?てゆうか何でそーなるの?」
葉月は極度のマイペースのようだ。
「…っああ!漢字ミスったァァ!銀八ィィ余りの短冊寄越せよ」
「それ先生に対する態度!?つーか修正ペン使えばいいだろ」
「(お前を教師だなんて思った事なんてねーけどな)ばっかお前、水色の短冊なのに何で白で修正しなきゃなんねーんだよ!間違えたのバレバレで恥ずかしいだろ」
「かっこの中聞こえてるんですけどォォ!」
なんだかんだ言いながらも葉月は銀八から新しい短冊をもらい、書き始める。
「そういや、七夕に降る雨って“催涙雨”って言うらしいな。何でも、織り姫が彦星に会えて嬉しくて泣いたとか」
「え!?織り姫が鳴いた!?」
「漢字が違ぇぇ!!お伽話を汚すんじゃねぇ!」
「ジョーダンだよ冗談」
「お前が言うと冗談に聞こえねぇ」
***
「うし、皆書き終わったみてーだな。んじゃ短冊この笹に付けた奴から帰っていいぞー」
銀八がそう言うと、皆各々が笹に短冊をつけて帰り自宅をし始めた。
全員がつけ終わったのを確認すると、銀八は笹を持ち上げて屋上へと向かう。
どうやら3Zがいちばん最後だったらしく、銀八が屋上に着くと既に他のクラスの笹が立てられていた。
「これでよし…と」
笹を立てた後、銀八は興味本意で3Zの生徒の短冊を読み始めた。
「(神楽は…“卵かけご飯もっと食べたい”?願望じゃねーか。志村姉は…“ゴリラが死にますように”俺はお前が殺人者にならないかが心配だわ)」
他にも、“安定した収入のある職に就けますように”や、“先生と結婚できますように”など、3Zらしい願い事ばかりだ。
「(ったく…ん?)」
銀八は溜め息をついた。そして、ある生徒の短冊に気付く。
「…素直じゃねーな」
「生徒の短冊盗み見か?」
銀八がポツリと呟くと、後ろから声がした。
「世界征服じゃなかったのか?」
銀八は葉月に問う。
「世界征服よりも、こっちの方が面白そうだろ?」
「お前らしいよ」
銀八は短冊を見て微笑む。
「織り姫と彦星、会えたのかな」
「さあな」
「織り姫って美人かな」
「…さあな」
「やっぱ会えたらイイコトすんのかね」
「…お前、せっかく綺麗にまとめたのに台無しだよ」
“ばかなこいつらとこれからもばか騒ぎできますように!”
galassia(ガラッスィア):イタリア語
意:銀河、天の川、星雲
080707
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