マンホールからこんにちは!
あぁ、夢なら覚めてくれ。
malevolo!
08〜trip!〜
今日はついてなかった。
珍しく早起きして、珍しく弁当を作った。
けどその弁当を家に忘れて、ついでに体操着も忘れた。
松平のおっさんにマジギレされて、体育は丸々1時間運動場を走らされた。
昼休みに購買へ行ったら魔王妙に会って、可哀想な卵焼きを無理矢理食べさせられた。
腹を壊して保健室でずっとうなだれていると、高杉がやって来て鼻で笑われた。(ふざけんな)
もう早退してやる!と思ったら銀八に捕まって、何故か学級懇談会のしおり作りを手伝わされた。(あれ、今授業中だよな)
途中、紙で指を切った。地味に痛かった。
もう嫌になって、国語準備室から飛び出した。
そんで家に帰る途中、何故かフタがなかったマンホールに落ちた。(工事のおっさん殺す!)
落ちた、はずだった。
「何で空から落ちてんのォォ!?」
え?マンホールから落ちたんだよね?何で空?
「ギャアア落ち…ッ地面ンン!」
もう何言ってるか分からないくらいパニックになった。(Sだから打たれ弱いの!)
「ギャアアァァ!!」
ドボォォンッ!!!
唯一の救いは、下が海だった事。
「はは…死ぬかと思っ、た」
悪運が強い自分を褒めつつ海から出て、街の方へ向かう事にした。
「…何だよ、これ」
街に着くと、俺は自分の目を疑った。
映画村を想像させるような町並み。着物姿の人、人、人。
まるで、江戸時代にタイムスリップしたかのようなのに、何かがおかしい。
そう、おかしいんだ。
江戸時代に車もバイクも、ましてやコンビニなどあるはずもない。
ない…はずなのに、
「何なんだよ、これ…」
視界に入る、それら。
頭が痛くなって、思わずしゃがんだ。
「おい、そんなとこにいると通行の邪魔だ!」
誰かに声をかけられて振り向いた。
「…え、」
「何だぁ?このガキ…変な恰好してんな」
い、ぬ…?
服を着た犬がいて…俺に話しかけている。
周りをよく見ると、他にもウルトラマンみたいな奴に、タコみたいな奴もいる。
「変なガキだな…」
犬みたいな奴はそう言って向こうへ行ってしまった。
「…はは、」
マンホールからこんにちは
「今日は祭りか何かですか?」
誰か、頼むからそうだと言ってくれ。
trip:英語
意:トリップ
主人公、トリップしました
080807
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