〜暗雲の果てより〜 成り行きで一緒に住むことになった異世界から来た少女、未雨。 きょろきょろと部屋を見回している。 「何もねぇからつまんねぇだろ?」 「ううん、落ち着く」 その言葉に俺は少し驚く。 部屋には、テーブル、ソファ、本棚、ベッド…そして、将棋セットだけの殺風景なもの。 否、色合いが殺風景に思わしているのか? それより、今日は疲れて一刻も早く床に着きたい。 「ベッド使えよ、俺はソファでいい」 「え、シカマルがベッド使って!」 「いい、使え」 「…ありがとう」 本当は身元のしれない女を木の葉に置くのは賛成出来ない。 だが、未雨の笑顔や泣き顔を見ていたいと思ったのも事実。 「起きてるか?」 「ん?何、シカマル」 「悪かったな」 首の傷… 白い肌に巻き付けられた真っ白な包帯。結局、サクラに教わりながら手当てをした未雨。 「…私こそ……ごめんね、手叩いちゃって」 「構わねぇよ」 「ん、おやすみ」 「あぁ」 窓から射し込む月光に照らされた未雨の寝顔 知らない間にシカマルも夢の中─── 月の光は優しく二人を照らしていた |