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屋上青春談義







「列車を乗り継いで船に二回乗って魔道四輪で二時間半でまた船…
なんて所で仕事してたのかしら」
「何の仕事してたんだよ」
「っとなあ…ミラが言うには
なんかの討伐だったらしい」
「戦う系統だったの…」

ざく、ざく、ざく
砂浜を歩く
ここはアルカナ
無人の島国
人がいないのに国っていうのは
ある動物によって荒らされて
国内の人々が一時的に避難してしまったから
王様が妖精の尻尾に頼んだみたい
それを請け負ったのがユウさん!
すごいなーそんな仕事出来るなんて!

「つか、なんでその仕事はS級じゃねェんだ?」
「あい!討伐だけだもん!国内に魔道士がいなかったから頼んだだけらしいよ!」
「あらー…
ユウさんが選ぶはずだわー…」
「ああ
ユウは疲れる仕事は選ばねんだぞ!」

ざくざくがふさふさに変わる
砂浜を抜けたらいっきに森林になる
地面にまで草が生えている

「うーあ…虫いすぎだろこりゃ」
「燃やすかあ!?」
「こらこら、無二の魂よ」
「虫の魂!あいい!」
「違う!」

がさ、と草をかき分けるナツ
きょろきょろと辺りを見回すグレイ
おどおどとする私…
飛び回るハッピー
私達、ほんっと…なんというか

「以来を受けたのって、ずいぶん前じゃない?
そもそも、もう達成してるんじゃ…」
「んーにゃ、ミラがいうにはまだ達成してねえ」
「じゃあ何やってんだよ、ユウってヤツァ」
「んー、あいつ、移動がすっげえ遅ぇんだよなあ」
「乗り物酔いしないのに、車とか使わないんだよ!」
「ええ?なんでえ?」
「知らねっての」
「あいぃ!」
「なぁんで知らないのよお!」
「チームじゃねえもんなあ」
「あい!」

ということは
これから来るか、今戦ってるかってことになるのかしら

「すれ違いってことも有り得るけどな」
「確かにそうよねー」
「だいじょぶだってー
あいつならここまで来るのに一年はかかる!」
「仕事ほったらかし!?」
「あい!道中色々してるみたい!」
「王様怒ってんじゃねーのか…」

「ソイル」

「あいっ」「え」「あ」「えっ」

波のような風が目の前から吹き付ける
あまりの風圧に一瞬目を閉じてしまう
次に目を開けたら、目の前に切り立った崖
崖―――?
なら、この、浮遊感はなに

「あっ、あ、あ、あああああ!?」

違う
あれは地上
わたしが落ちてるんだ!

「きゃああああああ!」
「ルーシィイイイイイ!!!!」
「な、……………ッナツゥ!!」

ナツが手を伸ばしてくれる
必死でそれに縋る
上ではハッピーが私達を呼んでる
グレイは!?グレイは、どこ!?

「火竜の咆哮!逆噴射!」
「きゃ、…あああ!?あっつい!熱い熱い熱いぃ!!」

反作用の力でどんどん上がっていく私とナツ
私の靴が焦げるオマケつきでね!
というか、ホントにグレイはどこ!?

地上に立つ私とナツ
陥没したところを覗けば、誰も居ない
周りを見ても、いない

「どうしよう…どこ行ったんだろう」
「ハッピー、見てないか?」
「オイラ、必死だったから…わかんない」
「そっか…」

ナツが、風のきた方向へ目をやる
風が来る前…声がした
誰かの声
魔法なの…?

「ちょっと、覗くか」
「う、うん」

ナツが慎重にするなんて…
意外
どうしてだろう…

風がきた方向を草陰から見る
そこだけは木が生えて無くて、小さい広場になっていた
そこに一人の男性が立っている
目の前に数十体のバルカン

「おい!あれって雪山にいたヤツじゃねーかよ!(小声)」
「知らないわよ!どこにでもいるんじゃないの!?(小声)」

コソコソと話す
見れば、バルカン達の脇には、何体か倒れて人に戻っているものがあった

「もしかしてさっきの、あの人の魔法?(小声)」
「…てか、あれ…」

じい、と前を見つめるナツ
探るように、探るように
…もしかして
国を襲った動物はバルカン…?
それを退治している人って言えば…!

「あの人がユウさんね!?」

いきおいで立ち上がる私
いきおいで大声を出す私
青年が振り向く
一瞬、周りが静寂に包まれる

「ば、ばか!」

ナツに馬鹿って言われた…
ショックー…
てか、あ、どうしよう
あの人、こっち向いて、バルカンに背を向けてる…!
一体が飛び掛かる

「あ、あぶな…!」
「ソイル」

一体の身体の真ん中に、矢が当たる
その矢は、すぐに崩れて、土になった
なったというか…戻った、感じ?
当たったバルカンは、ひれ伏すように崩れ落ちる

バルカンの群れが、叫ぶ
突然、吼え出す
一体やられたからだろうか
全員で飛び掛かる

「ソイル」

その一言で、地面から矢が発射される
それはそれぞれの身体の真ん中へ当たる
なぜか貫通はしない
しないのに、倒れていくバルカン達
一気に人間へと戻っていく

「…すご…」

その間、ずっとこちらを向いていたから
その凄さが更に際だつ
というか…超…かっこいい…

「誰、なのさ」
「あ、…う、あ」

きゃああ!
声まで格好いい!
一夜なんてカスよカス!
やっばい!この人!

「ユ―――――――――ウッ!!!!」

びょーん
と、ナツが飛び出す
超笑顔で

「久しぶりだなあオイィ!!」
「久しぶり、ナツ
相変わらず元気だね君は」
「お前は相変わらず細ェーなあー!」

柔らかく笑う彼
背はちょっと低いのね…
でも私よりは高いからオッケー!

「で、彼女は誰なの?」
「は、は、はひい!」
「アイツかあ?アイツはルーシィっつーんだ!」
「は、はい!あの、ナツとチーム組ませて貰ってますう!」
「そっか
ナツのパートナーか」

よろしくな、
という彼
彼は―――

「貴方は、その―――」
「僕、が、なにかな?」
「えっと、そのお、ユウ・シーバーさんですか?」

びっくりした顔になるユウさん
やっぱり、ユウさんなんだ…!

「凄いね。なんでわかったの?」
「俺が教えたんだよっ」
「そっかー」
「て、天然さんっ…!」

きゅーん!
きゅーんよ、きゅーん!
もーやっばい!可愛い!格好いい!

「それで…なんで、ナツはここ」
「ぎゃあああああああああああっ!!!」

グレイの声がする
上から
…あれ
なんで?
上からするとか、有り得な…

ゴチィンッ!!!!!!

「ユウ―――ッ!!!!!!」
「ぎゃあああユウさああん!」

てかグレェェェェイィィイイイイ!!!!!!
あんたっ…
あんた何ユウさんに垂直頭突きしてんのよ!

「大丈夫かユウ!?」
「と、とりあえずここじゃ駄目ね…
もっと、人がいる所へ戻りましょ!」
「あのバルカンだった人達はどうするの?」
「どうしよっか、ハッピー…持てる?」
「むり!」

あーもーどーしよー!
あ!そうだ!
星霊に手伝って貰おう!

「開け!処女宮の扉!バルゴ!」
「お呼びですか姫?」

ぼぅん!
と言う効果音を出して登場する、私の友達
さあバルゴ、地面を掘って大陸まで繋げて!
要するにトンネルを造ってちょうだい!

「なんでバルゴなんだ?」
「だってナツ、船だと酔っちゃうじゃない
それじゃ運びきれないでしょ、こんなに倒れてるのに」
「行きもそうしやがれー!」
「魔力を無闇に使いたくないのー!
さーホラ!バルゴの後を追うわよー!」
「これ、何往復もしなきゃいけないね!」

私が持てる人は一人
ナツはいま、ユウさんを合わせて五人を持ってる
ハッピーはグレイを引きずってる
一気に運べるのは7人かー…
ほんと、ハッピーの言う通り
何往復もしなきゃね…





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