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がんばれー







「…んだこりゃあ」

扉を開けると
緑が大幅に少なくなっていた





「うわ,なくなってるし」

たす,たす,と
理事長室まで歩く
砂が簡単に舞う
少し風が吹いただけで,砂嵐並み

「なーんか,寂しい景色だな」

向こうの方には森が見える
だが,森の近くにあった雑草や花はすべて無くなっているようだ
寮の周りも,淋しくなっている

「なんだこりゃー…」

ざく,ざく
今にも砂で滑りそうな道を行く
雪男,付いてきてくれれば良かったのに
雪男なら原因がわかっただろうに
なんだろう
これって自然に起きるようなことか?
しかも,ここ
聖十字学園で
あっていいことなのか?

そういえば,宿題があったなー
なんだっけ…
やわらそう?
とか言うのを採ってこいとか
ムリだな,こりゃ
やったー
宿題消えたー
これじゃ誰も集められないだろ
うん
ああ,
誰も,ムリだろ
こんなの
こんなの
こんな道,歩くのって,
なんか,なんかなんか
というか,走る
なんか,
なんか
すっげえ
取り残された気分だ
誰もいない
なにもない
更地で,一人
なんだか
ダメだ

「くそっ…」

誰か
誰かいねえのかよ
なんですれ違わないんだ
どうしてだ
誰でも良い
なんでも良い
なにか―…

「あ,」

かしゃぁっ!

と,携帯がポケットから滑り落ちる
正気に戻る
は,は,と自身の呼吸音
じい,と落ちた携帯を見つめる
もう,寮は見えない
理事長室の方が近い
さっさと行こう

と,
一際強い風が吹く

「うわわっ!!!」

眼に砂が入る
足取りがおぼつかなくなる
携帯,
携帯

ふ,と何かが手に触れたから
がし,と掴んだ
掴んだ

でも,なんか
携帯よりでかいし
皮みたいな感触
これって
靴,か

ちろり,と
ぼやける眼で,見上げる
そこには,真っ黒で,真っ黒な,男
手には,ふるえる携帯

「…あ…?」

かちり,
携帯は開かれた
声だ
雪男の
でも,凄く遠い
なんで,
なんだ
なんだ?

「あ,」

ちり,
と,頭の奥が燃えた

「っあああああああああああああああ!!!!!」

無様に,倒れ込んだ


あきゅろす。
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