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どこへ行ってしまったのか,君は







「――っおいっ!
待てって,この!」

生い茂る草と木
正十字学園のぎりぎり敷地内といえる森林区域にて
指定制服を着崩した少年が走っていた
肩には剣を背負い
もの凄いスピードで駆け抜けていく

「待てこの野郎っ!
どっから入ってきたっ!」

少年の目に映るのは,一匹の動物
いや,動物と呼んで良いのか
全身真っ黒で光沢が無く,しっぽや耳のような物が伺える
器用に枝と枝を飛び回るそれは,奇妙な鳴き声を上げながら逃げる

「くっそー…
こんっの!」

だんっ!
と一際強く地面を蹴る
剣は抜かない
敷地の端だからと言って,真っ昼間であるし
しかも,見る限りに低級だ
殴っただけでも捕らえられるだろう

逃げ回っていたそれ――悪魔の目の前に
少年,奥村燐が下から飛び出す
そして横から,剣を振るう

ばしん,

と,悪魔が横凪に飛ばされそうになった瞬間
爆発した

「うっ…あああああああ!!」

周りに黒いかすのような物が飛び散り
燐は地面に叩き付けられた
打ち所が悪かったのか,後頭部があつい
いや,全身が痛い

「くっそー…」

まあ,俺以外にも悪魔進入には気づいていたようだし
見つけてくれるだろう―――…
そう想いながら,意識を手放した










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