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とある夢見た捌人目

とある夢見た捌人目
[A certain Eight number was dreamt. ]








「まぁちなさぁぁあああああああああああいッ!」
「いや待てゴメンほんっと悪かったって!」
「アンタは何に対して謝ってんのよっ!!」
「いやとりあえず謝っておけば丸く収まるかとーっ!!」

ここは学園都市
人口の八割が学生という、若者が集う街
学生達は各々の能力―――超能力を競い合い、削り合い、高めていく
それは格付けされ、Lv.5からLv.0へ別れていく
Lv.5―――それは最高峰の能力
学園都市にも七人しか居らず、そのウチの序列第三位
常盤台中学代表、御坂美琴は走っていた
目の前の少年、上条当麻を捕らえるために

「ちょま、マジで、マジで待ちなさいよ!
こ、ここ、ここここれええっ!
ゲコ太にアンタっ、蹴り入れるってどういう事よ!」
「だから違うんだって!!」

御坂美琴の右手には、蛙の人形があった
それは少し土を被り、なんとなく汚い

「俺は!ただ!人形が落ちてたから!」
「蹴ったって言うの!?」
「違うっつってんだろー!
とりあえず拾おうとしたらテニスボールが落っこちてて、それ踏んで踏みとどまろうとした所にその人形があったんだよ!」
「これねえっ!私が能力を使わずに頑張って頑張って頑張って取った一品なのよ!
そんな簡単に感情処理できるかー!」
「じゃあなんであそこに置いてたんだよー!?」

追われている少年
上条当麻
身体検査ではLv.0の無能力者
ただし
ただの無能力者ではなく、能力者の能力を無に帰す能力を持つ、Lv.0
その右手は神様の恩恵さえ打ち消す能力を持つ
そのせいでこのように不幸な目に遭う事が多いが
もうひとつ
彼には秘密がある
誰にも、そう自身にとって「トクベツ」に位置づけされるようなあの少女にも言っていない、秘密が

「だーっ!もう!いい加減帰らねーとインデックスが癇癪起こすだろーが!」
「癇癪ぅ!?なにいってんのよバカ!もう!
責任取りなさいよ、このォ…!」

Lv.5
御坂美琴
学園都市で三番目に強い'超'能力者
その力は発電能力
10億ボルトもの電圧はアスファルトを焼き切るほどの力を持つ
そんな彼女の別称は―――超電磁砲
ゲーセンのコインを主に、50mほどのビーム、レーザーを飛ばす技術を持つ事から、そう崇められる

それゆえ、負けず嫌いで
短気
熱くなると加減を忘れるタイプ
それゆえに、この
彼女にとって運命の機転となった、橋の上で
コインを弾き
力の限り、ぶっ放す
無能力者、上条当麻へ向けて

「ォ、ォオ、おおおおおおおお!!??」

しかしその一方で
第三次世界大戦という大きな戦争を経験しただけあり
少年、上条当麻は間一髪、転ぶように避けた
それにより、御坂美琴は更に激怒する

「避けるなあああああああこのド馬鹿ぁぁぁぁあああ!!!!」
「死ぬだろーが!」

ごろんごろん、と上条は転がる
片手をついて立ち上がる
ぱんぱん、と埃を払う上条

今日の御坂美琴は
'いつも'と違った
本人も、少年も、周りの人間も
彼女のほんの小さな変化に気が付かなかった
今日の彼女は'いつもより'怒りっぽく
'後先考えない無鉄砲'に成り下がっている、と

そこへ
運もタイミングも悪く、警備ロボが御坂の右側をゆっくりと通る
規定以上の電力に反応したのか、ただの見回りか
そんな事情はどうでもよく

御坂美琴はふ、と警備ロボへ手を伸ばす
上条はそんな御坂の行動を不審に思う
御坂は磁力による補助付きで警備ロボを持ち上げる
自信の右手を地面と平行に
その前に警備ロボを浮かせて

「アンタは、いっつも、いっつも、そうやって私を苛つかせるの」

上条が感づく
御坂へ向かって走る
そう、ここは橋の上
乗用車、歩行者は通る
例えアスファルトが削げていようとも
無理矢理、通る物は当然いるだろう

「ほんとにもう…
アンタはなんで、そんなに私を苛つかせるのよ―――!!!!!!」
「御坂待っ―――ッ!!!!!!」

ドッ




吹き出す
吹き荒れる
超電磁砲は50mどころか500mほどいったのではないだろうか
少年は勢いに押されてしまったのでは―――
という
上条が'護った'通行人は、そう思う

超電磁砲は斜め五十度へ打ち上げられた
上条が寸前で御坂の腕を下から上へ叩き上げたからだ
なぜ幻想殺しを使わなかったのか
それは上条は'電撃'は消せても'電撃で飛んできた警備ロボ'は消せないからだ
警備ロボは右手では受け止められない
そう判断した上条は、真上へ超電磁砲を飛ばした

「―――ッおい!御坂!」
「なによ!」
「なによじゃねえよ!お前何してんだよ!」
「なに…て、…別に、大それたことしてないわよ!」
「はあ!?なーに言ってんだお前!
今警備ロボ撃ったろーが!
上条さんはマ・ジ・で・死ぬかと思ったぞ!?」
「…………え?」

こて、と御坂は首を傾げる

「私が撃ったのはコインだけでしょ
それも打ち消されちゃったし」
「…………は?」

がく、と上条は首を落とす

「おま、もしかして怒りに我を忘れて撃ったっていうのか?ふざっけんなよ〜」
「ふざっふざけてなんかないわよ!
そ、そんな、怒りで我を忘れるなんてこと…」

ない…とも言い切れないけどっ!
と、御坂は憤慨する

「別に魔術とか能力で操られたってわけでも無いだろ?
触れても反応無かったし」
「操られるわけないでしょっ…多分」
「まー良いけどさ
金輪際勘弁してくれよ警備ロボ砲は」
「何そのだっさい名前」

はあああ…
と、上条は大きく溜息を吐く
そして、お決まりの一言を呟く


「不幸だー」










「いまの…」

第十学区
唯一の墓地があり、不良の多い学区
そこに一人の少女がいた

「超電磁砲?」

カタカナで呟く
空を切り裂いていった光を見て、一人、感慨に震える

「見つけた…」

第十学区は不良が多い
第三位は真面目で、陰険な物が嫌い
第一位は一時期荒れていて、今は正義的
第四位は以前ここで目撃されている
第十学区にいるかもしれない、と予想を立てていた
実際はいなかったけれど
でも、見つけた

「やっと見つけた…Lv.5」














―――――――――
すいません
大分本編と設定変えていますね
上条が記憶喪失の事をメインヒロインの二人は知りません
でも第三次世界大戦後です
ちなみに管理人は全巻読んだわけではありません
飛び飛びです
1から15までと22、23巻を読みました







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