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青2


塾生は皆燐が悪魔という事を理解しています

















来ない
アイツが来ない
俺と同じ野望を持った、アイツが来ない
待ってるわけじゃあらへん
ただ不真面目に感じて、裏切られたように思えて、ちっと苛つくだけ

「…はぁ」

教団の奥村センセは社山サンの隣の空席を気にしてるよう
ということは、サボりか急用かっちゅうハナシで
どっちの可能性もあるアイツの行動予測なんて、つくはずもなし

気になるとか、そんなんなわけない
そんなボケじゃあ、あらへんから
でも、やっぱり
ちょいとだけ不安に思う




と、
少年、勝呂竜士の悶々度がピークに達しようとした時―――
教室の扉が何の前触れもなく開け放たれる
そして放り込まれる物体

「っでぇ!!!」
「!」

驚いたように凝視する先生
俺等生徒も一斉に向く

そこには、ジャージ姿に、後ろ髪を束ねて小さい尻尾ができている奥村がいた
片膝を立てて、床に尻をつけている

「はーい、こんにちはー生徒達
すみませんねえ、奥村君にはちょーっと用事があったものでして
ですがもう済みましたので、途中参加させてやってください☆
それでは」

扉から顔だけひょこっと出して
理事長が言い、扉を閉めて去っていった

教室には、短い沈黙
破ったのは勿論、主格の人物

「あ、あはははー…
わ、悪ぃなー雪男ぉ…授業邪魔しちまって」
「…はあ」

と、奥村センセイは溜息を吐く

「別に良いですけれど、奥村君
なぜジャージなんです?」
「い、いやぁ〜…?
特に理由なんてねーけど?」
「なんとなく袖が余ってるように見えるけど」
「いやっ!なんか今日は暑いなっ!
ちょっと腕まくりしよーかなっ!」
「なんとなく裾が余ってるように見えるけど」
「足の方もちょっと蒸し暑いかなーっと!!」

ばばば、と腕と足首を出す奥村
どき、とした、なぜか
いやいやいやいや
なんでや、ありえへんっつの
なんか白いとか細いとか、考えてへん考えてへん

「…兄さん」

明らかに何かを隠している様子の兄に
容赦なく疑いの目を向けている弟

「……なんとなく背が縮んでない?」
「……ちぢんでねーし…」

ぼそぼそという奥村
隠す事に面倒になったか、半分諦めたか
軽く俯いてしまった
なんとなく志摩と眼を合わせて
(なんなんだ?)
と状況のわけわからなさを確認する

「反対に髪の毛は伸びてるね」
「…」

黙秘権を行使したようだ
耐え難い苦痛を何とか凌いでいるような表情は…ちょっと、いやかなりkawaisaijdsldhsd…

と、長い時間黙っていた奥村に
諦めの溜息を吐く奥村先生

「…しかたないなあ
後で聞くから、とりあえず席について」
「!」

ぱあ、という顔になる奥村
なんだかいつもより顔の赤みが濃いし、小柄な気がする
というか、むちゃくちゃ可愛くなっている
なぜだ
もしや、理事長がなんかしたんか

理事長を疑い始めた瞬間
疑われている本人が、イタズラをした

「ありがとなっ雪男!!」
「えっ」

いつもの燐なら笑って終了
の、はずなのに
勢いを付けてのハグ

「にににににーさんっ!?」

(なんだかいつもより頭が下ですっぽり収まるのはなぜだああああああ!!??――あ?)

はあ!?
なぜに抱きつく!?
わけわっからへん!
むかつく!むかつく!
なにしとるんや奥村!

感情の勢いに負けてガタンと席を立った瞬間、

「なんじゃこりゃああああああああああああああああああああああ!!!!!」

と、奥村雪男の絶叫が響く
惚ける燐
怯む勝呂
がしり、と雪男は燐の肩を掴むと、言った

「…にいさん?だよね」
「お、おぉ…
俺はお前の兄ちゃんだけど?」
「君は、いつから、正確に今日の何時何分何秒に。







ぼくの姉さんになっちゃったワケ?」


次の瞬間、事態を把握した奥村燐の絶叫が響き渡る




あきゅろす。
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