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桜の木によじ登る



「帝人、ごめん」
「ごめんじゃないよ何この状況」
「きけよ!女の子かと思ったんだ」
「そんなこと訊いてるわけじゃねえ
僕が言ってるのは
なんで誘拐したんだって事だけだ!!!」










ちょこん
と、座り込んでいる少年A
僕、竜ヶ峰帝人、高校二年生
ごくごく普通の一般人
非日常がちょっと好きだけど、そのくらいはご愛敬
そんな僕の家に、どうして子供が居るのか
見たところ十歳ぐらいだけれど
そう、原因は
高校中退した'元'親友
目の前でバカ面下げてにやにやしてる、紀田正臣である

「だってさあー
久しぶりに戻ってきてさあー
歩いてたらさあー
'ここ、どこなの'
って!足下に縋り付いてきてさあ!
もうこれは拾うしかないなって!」
「お前一回独房入れ」

反省しろよ

「というか紀田くん、さっき女の子だと思ってたっていったよね」
「ああ」
「女の子だったら何する気だった?」
「…………………………あはは」
「あは、警察いこっか」
「待て待て待て」

落ち着こうぜ帝人
と、無駄に大人ぶって言う目の前の害虫
僕は落ち着いてるんだけどな
可笑しいのは君じゃないかな?
まあいいけど
とりあえず、この少年Aをどうするかが問題だよね
背格好はさっきの通り、十歳ぐらい
大方、両親とはぐれたーみたいな感じだろう
見た目は着物
髪の毛は真っ白でツンツンしてる
…外人なのかな

「えーっと、君?」
「なに」
「名前なんていうの」
「…えーっと」

うーんうーん
と、悩む少年A
なんで悩んでるんだろう
もしかして忘れた?

「おいおい謎の美少年登場だなー?」
「紀田君は一回死んだ方が良いよ」

このこ、喋る言葉に抑揚がないなあ
無表情だし
ちょっと怖いぞ
そして少年は十分悩んだ後

「まだ修行中の身ですので、名乗れる名前などございません」

と言った






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