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「お、阿良々木くんじゃない」
「んー…折原か
ちょ、待てなんで目の前座るんだよ」
「いいじゃんいいじゃん
俺と君の仲なんだから」
「犬猿の?」
「嫌煙の」
「誰がタバコか」

白い長机
緩くカーブした椅子
騒々しい昼休み
今は昼ご飯を食べる時間で
僕、阿良々木暦と
彼、折原臨也が出会ったのは
このごろ頻発する偶然ってやつである

僕のオムライスの前に置かれる唐揚げ定食(唐揚げ+ご飯+総菜+みそ汁+なぜか納豆)
なんだよ…
なんか豪華なヤツもってきやがって

「今日はオムライスなんだ?」
「お前こそ
珍しいじゃん、唐揚げ」
「あ、おま取るな」

べし、とお手ふきを投げつけられる
以前の仕返しだ
僕の肉じゃがのじゃが全部食べやがって

「鍋じゃないんだな」
「鍋なんて頼んだ覚えはないかな」
「そうだったか
以前金に物を言わせて作らせてた気が」
「しないでもないねー」
「波江さんが可哀想だろうが
あの人最近失恋したらしいし」
「らしいね」
「お前から聞いたんだぞ」
「そうだったね」

調理場にいる矢霧波江さん(年齢不詳)
なにやらドロドロとした恋愛をしていたらしく
挙げ句の果てには片思いの相手に拒否されたらしい(折原調べ)
その相手って言うのが僕より一コ下の学年らしいから
まあ、世も末だな、って感じだ

「矢霧くんも酷いよねえ…」
「…くん?」
「波江の相手だよ」
「同じ名字か、珍しい」
「別に可笑しくないさ
あの二人は―――…まあ、ね」
「…ふーん?そうかぁァアアアっ!」

ぶちょおおっ
と、オムライスの上にケチャップを大量にかけられる
もう、黄色い卵が見えない
ああ…
仏頂面の波江さんに勇気を振り絞って頼んだ一品なのに…

「おま、話をぼかすためだっつってもこれは無いだろ!」
「えーなにーぼかすってなに話ってなにー
別に俺なにもしてないけどー」
「別に深く聞こうとなんてしてなかったっつーの!!
うわああ塩分過剰摂取で死ぬかも…」
「やめてよ君の死亡現場になんて立ち会わせたら
ガハラちゃんに背骨粉砕される」
「ガハラさんに希望を託すか」
「一蹴されそう」
「お前がな」

できるだけケチャップを端に寄せて
再び租借再開
折原は唐揚げをぱくぱく食べている
唐揚げか
今度頼んでみようか
もっぐもっぐしながら
納豆の入った皿を持つ折原

「……ん?」
「なに」
「なんで?」
「はあ?なにが」
「なんで納豆なんだ」
「…キムチと迷ったけど」
「キムチでいいじゃん」
「気分だけど。なに?なんなの?」
「納豆嫌いなんだよー
うあー視界に入ってくる」
「…別にまずくなくない?」
「なくない」

さっきから異臭はしてたけど
というか視界には入ってたけど
でもお前が手に取るまでは意識してなかったんだよ!

「というか俺、嫌いな食べ物無いんだよね
全部俺の愛してる人類が育てたと思うとさ」
「平和島が納豆好きだって噂が」
「はいあげるよ納豆inオムラ」「ストップストップストップ」

しかもonじゃないんだなinなんだな
わざわざ突っ込むな!
嫌いだっつってんだろ!

「嘘です嘘でした嘘でしょうごめんなさい」
「へえ
君にも嫌いなモノってあったんだ」
「いやだって…嫌じゃん
ねばねば〜とか 臭いとか」
「ふーん」

よくわかんない
と、折原は言う
そーかい
と、僕は返す
あー、次の授業はなんだったか
と、考えを巡らせていく



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