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NOVEL!
恩返し(ヒバジ)
15禁以上



















良く晴れた、並盛中でのできごとである・・・・・・


少年は並盛中をめざして歩いていた。

少年の名は、バジルという。

とある人からの言伝を預かっているため、少々早足になる。

空は青いし、雲一つない。なんて平和な日なのだろうか・・・と歩いていたが。


ドガッ


「うわっ!」

「どこ見てあるってんだよ!?」


そこには怖そうな顔をした、三人の男が立っていた。

「す・・・すみませんっ。」

バジルは慌てて謝る。

男の一人が言った。

「結構可愛い顔立ちじゃん?」

「俺らの相手になってよ。」


バジルのこめかみに冷たい汗が流れる。

やばい・・・。
今日は親方様から沢田殿にと言伝を承ってきたのに・・・ブーメランも持っていないし・・・。


「とりあえず、いったん落ちてくれる?」



真ん中の男が言った矢先。


「・・・ッ!」


バジルは自分の鳩尾に鈍い痛みを覚え、身体の力を抜いた。

意識が朦朧としてくる。



そのときだった。




「ねぇ、何群れてるの?かみ殺すよ。」



そこには並盛最強にして最凶の並盛中学校風紀委員長、雲雀恭弥が立っていた。

「ひ・・・雲雀殿・・・。」

朦朧とする意識の中で呟いた気がする・・・。


「お・・・お前は・・・。」

「並盛最強の・・・」

「雲雀恭弥!?」


三人組が混乱している。

雲雀は仕込トンファーを握り、目にも留まらぬスピードで三人に向かってゆく。


「ぐあっ!!」


一人の男が倒された。



「ぎゃー!」




そして二人目。


「ちょいと待ちな。」


最後の一人が言った。

その男はバジルを抱えている。

その華奢な身体からはほとんど力が感じられない。



「こいつと同じ中学だろ?どうなってもいいのかよ。」


「別に。」


一言置き、雲雀は男を容赦なく殴った。

バジルは支えを失って倒れる。


!?



思いっきりアスファルトの衝撃をくらうと思っていたバジルはつぶっていた目を開けた。


自分はアスファルトに横たわっていない・・・?


よく見ると、もう一つの腕がバジルの身体を支えていた。


「ひ・・・ばり・・・ど・・・っ」

痛みに耐えかね、バジルはそこで落ちた。






目を覚ますと、ふかふかの床に横たわっていた。否、ソファーに寝かされていた。

先ほどの記憶がぼんやりと蘇ってくる。

バジルは、はっと我に返る。瞬間、鳩尾に痛みが走った。

「うッ・・・」


思わず呻き声をあげる。


ここはどこなんだろう・・・

そんな疑問しか浮かんでこない。

「目が覚めたの?」

声がした。

その方向に顔を向けると、黒髪が目に映った。ガクランを羽織って「風紀」とかかれた腕章を付けている。

「雲雀どの・・・。」


そうだ、拙者は・・・。

三人組に絡まれて、雲雀殿に助けられて・・・


それからの記憶がない。


「もしかして、ここは応接室ですか?」


恐る恐る尋ねる。親方様から、雲雀殿は応接室を風紀委員で使っている、と聞いたことがある。もし本当ならば・・・


「そうだよ。」


「拙者を・・・あそこから運んでくださったんですか?」

「・・・うん。」


バジルは雲雀を見直した。


「ありがとうございました。もう大丈夫なので、拙者は帰らせていただきます。お礼は後日、お送りいたします。では・・・。」


バジルは頭を深々と下げて、応接室を出ようとした。


が・・・



がっしりと腕を捕まれた。

バジルが頭の上にはてなマークを浮かべていると、雲雀は口元だけ笑って言った。

「お礼は、今この場でしてもらうよ。恩返しは早めにやらないとね・・・・・・。」


今この場で・・・・・・?

何を言っているんだ、この人は。

今、自分は何も持っていなくて。

持っているとしたら、親方様からの言伝と、財布とハンカチしか入っていない小さなポーチ。


何が欲しいというのだろうか。



「不満そうだね」


雲雀が言う。

「当たり前です。拙者は今、何も持っていませんよ。まさか、カツアゲでもしたいんですか?」


「はっ、まさか。」



雲雀がふっっと笑う。


「お礼は・・・僕の玩具になってよ。」



「はっ!?」



バジルは混乱した。

おもちゃ?オモチャって・・・



「拙者は雲雀殿のオモチャではありませんよ。」


「だから、今からなるんだよ。」

「嫌です。」

はっきりと口に出してしまった。

かみ殺されるだろうか。



「ふぅん・・・。じゃあ・・・。」



雲雀がバジルの華奢な両肩を掴んだ。


「襲ってあげる。」


「なっ・・・冗談はやめてください。」

「冗談なんかじゃないよ。」

確かに、雲雀の目は真剣そのものだった。

「証拠を見せてあげる。」

雲雀の姿が一瞬ぶれた。刹那。



!!



雲雀はバジルの胸ぐらを掴み、ソファに押し倒していた。


「雲雀殿!!やめてください!!」


「やめないよ。」


歳も、体格にも差が有りすぎる。どんなに抵抗しても雲雀の手から逃れることはできない。



ならば。



バジルはグーを思い切り雲雀の頭に振り下ろした。



・・・。



少しの間の沈黙。


そのすきに逃げようとバジルは身を捩った。



だが。


!!!


「が・・・ハっ・・・。」



バジルは一瞬、何が起こったのか分からなかった。

ただ、鳩尾の辺りが痛くて・・・


「何するの?君には少ししつけが必要なようだね。」

雲雀が喘いでいるバジルの両手首を一束にまとめ、そばにあった正方形の薄いハンカチで縛った。


「雲雀殿っ!!」


バジルは必死に抵抗するが、鳩尾の痛みで上手く動けない。


「少し苦しんで・・・。」


雲雀の手が、のどの食い込んだ。


「・・・ッバリ・・・ド・・・。」


声にならない。掠れる。喘鳴が激しくなって、苦しさを増す。


「コホッ・・・ケホッ・・・。」

合間にゼィゼィと、苦しそうな呼吸音。

「ねぇ、苦しい?」


「ゲホッ・・・は・・・い・・・ケホッ!!」


せき込んで目が潤んでいる。


そんな彼を、いじめ抜いてみたいと雲雀は思った。








意識が朦朧とする。

もう自分の喘鳴しか聞こえない。

「も・・・う・・・やめ・・・て・・・」

ください、という前に、雲雀はバジルの喉元を刺激した。

「ケホッ・・・」

雲雀はもう少し遊びたがっているようだ。

今度は何をされるのかとビクビクしていたが、雲雀の手が緩み、バジルは安心した。

両手を拘束していたハンカチがほどかれた。

「逃げたらかみ殺す。」

雲雀に睨まれ、バジルは思わずひるむ。

結局、この人は『かみ殺す』ですべて収めようとするのだ。

雲雀が何かを捜しているが、やはり逃げ出すのは不可能だろう。

「ねぇ、ちょっと来て。」

ここで素直に行ったら、また同じ目にあってしまう。

「嫌です。」

ここまではっきり断ったのは、まずかっただろうか。

「ふぅん・・・。」

そう行った後。

目にも留まらぬ速さでバジルの懐へ一撃をくらわす。

紙一重でかわしたバジルだったが、バランスを崩してしまった。

「あっ・・・!」

しまった、と思ったときにはもう遅かった。

そう気付いたときには、自分の顔が、雲雀よりも下になっていた。

「うん・・・その顔いいね・・・。」

雲雀に耳元でささやかれ、バジルは無意識に目を硬く瞑る。

「どいてください、雲雀殿・・・。」

「やだ。」

了承するはずはない、と思っていたのに、何故か口からはそう言う言葉しか出てこない。


「もっと苦しんでよ。」

雲雀が再び、バジルの細いのどに手を掛ける。

「ケホッ・・・」

先ほどより力が強い。もうそろそろ限界が・・・

バジルの喘鳴が激しくなったそのときだった。


!?

「ウウッ・・・。」

いきなり呼吸が更に苦しくなったバジルは唸った。

だが何故か、「う」という言葉しか出ない。

その理由に彼は気が付いた。

先ほど雲雀殿が探し物をしていたと思ったら、これを探していたのか・・・。

バジルの口の中にはタオルが詰め込まれていた。

只でさえ、首が絞められていて呼吸が困難なのに、口をふさがれたら、冗談抜きであの世行きだ。

バジルは必死で藻掻く。が、藻掻けば藻掻くほど、呼吸は苦しくなる一方だ。



どうすればいいのか、薄れゆく意識の中でバジルは途方に暮れてしまった。そのときだった・・・。



いきなりタオルが引き抜かれた。

「ハッ・・・。」

バジルは息を大きく吸い込み、激しくせき込んだ。

だが、未だに雲雀の束縛から逃れることができない。


「雲雀殿!どいてください!拙者は沢田殿に言伝を承っているのです。」


「どうでもいいね。」


「雲雀殿!!」


埒のあかない会話をしながらも、バジルはどうやって逃げればよいか、考えていた。

隙をついて逃げようとしても、必ず捕まってしまう。

一体、どうしたらいいのだろう・・・。


そう思案したところだった。



!!!



本日何回目か分からないが、またもや鳩尾に痛みが走った。が、気絶するほどでもない。ただ力が抜ける。


「・・・クッ。」

バジルは小さく呻く。

その僅かな間に、バジルはうつ伏せになっていた。


「ひ・・・ばりどの・・・。」

上から乗られた。息がしづらくなる。

「もっと僕を楽しませてよ。」

雲雀はバジルの喉を、馬乗りになって刺激する。


「ホッ・・・ケホッ・・・コホッ・・・。」


思うように息が吸えなく、バジルは少々苦しむ。


「雲雀殿、やめてください!」

「やめないよ。無駄口叩くなら、またこうするよ。」


雲雀はまたもやバジルの口にタオルを詰め込む。


「ウウッ・・・。」


うつぶせはさすがに苦しい。


「苦しいかい?」


バジルはこくんと頷く。


「じゃあ、こうしてあげる。」


雲雀はタオルをもう一枚取り出す。

そして、バジルの鼻と口を覆った。





!?





一瞬何がおきたのか分からなかったバジルだが、息が全くできなくなって、焦った。



「ウッ・・・。」



酸欠で頭がぼやけるが、それ以上に息が全くできないのは苦痛だった。


バジルは身を捩らす。拳を握って、苦しみに耐える。

自然と目が潤んでしまった。



自分を殺す気だろうか・・・



必死で耐えるバジルは、ふとそんなことをおもってしまった。







「ひばりぃー!いるかぁ?」

いきなり、能天気な声が廊下から聞こえてきた。

バジルはその声に反応し、激しく抵抗する。

あと何秒かで本当に命が危うい。いや、現在も危ないのだが。

「今入ったらかみ殺す。」

「ははっ。ヒバリっていっつもそうなのな♪」


二人の会話を聞きながら、バジルはこの能天気な男に自分の存在を気づいてもらおうと試みた。

「入るなって言われると入りたくなるのが人間の性なのな。」

能天気男はガラガラっと応接室の戸を開けた。


・・・と同時に口を閉ざした。その瞳が真剣そのものになる。


「ヒバリ、お前・・・。」

「何?邪魔しないでよ。君はここでかみ殺すから。」


雲雀はトンファーを持って、そのあらわれた能天気男・・・山本武に突進する。

山本は攻撃をかわし、すぐさまバジルに駆け寄った。

「おい、大丈夫か?」

もはや立ち上がる力もなかったバジルは、山本に体重を預けて喘いでいた。

目がうるんでいて、頬がやや紅潮している。

その姿に山本は一瞬見とれた。その隙を雲雀は見逃さない。

容赦なくトンファーを山本に振り下ろした。


「う・・・ぐっ・・・。」


山本がバジルに体重をかける。

「や・・・まもと・・・どの・・・。」

まだぼんやりとしている頭でバジルは彼の名前を呼んだ。

「さぁ、続き・・・しようか。」


雲雀がバジルを壁際までじりじりと追い詰めていった。

バジルは恐々と一歩一歩後ろへ下がっていたが、やがて、背中が壁につくと、彼はただ震えることしかできなくなった。


「何?僕が怖いの?」


怖い・・・ほんとうに怖い。

バジルは雲雀の恐ろしさに、立っていることだけで精一杯だ。

「君・・・キスしたことあるの?」

唐突に尋ねられ、バジルが疑問符をうかべて顔をあげたそのときだった。


「・・・っ・・・。」

バジルは息をのむ。

顔をあげた瞬間に、顎を持たれた。

その事実だけが、彼への恐怖の対象となる。

「い・・・や・・・。」

「どうして僕を拒むの?」

雲雀がバジルに風が感じられるくらいの近さで話しかける。

「・・・っ。」

バジルはぎゅっと目をつぶる。もう顔も見たくない。

「聞いてる?さっきの質問まだ答えてないよね。」

先ほどの質問・・・というのはキスの話だろうか。

バジルは目を開く。

「あいさつ程度のものなら・・・。」

イタリア人ですから・・・と付け足すと、雲雀はふうん、と納得したようだった。

「じゃあ、ディープは?」

バジルが目をそらす。

「あるの?ないの?」

雲雀が迫る。その恐怖に体は正直で、彼の体は震えだした。

「あ・・・りません・・・っ。」

「そんなに怖い?」

はい、と正直に答えたらどうなるだろうか。

とそのときだった。

「あんまりいじめんなよ。」

少年二人の耳に、殺意をあらわにした低い声が突き刺さった。

「山本殿・・・ったすけ・・・・・・ぐあ!?」

バジルが山本に助けを求めようとすると、雲雀にトンファーで殴られた。

意識が朦朧とする。

「バジル!」

山本が叫んだのと、バジルの意識が飛んだのは同時たった。


「邪魔させないよ。」

雲雀が山本にトンファーを振り下ろす。が、山本はそれをいとも簡単によけると、雲雀の懐に飛び込んだ。

「ワォ・・・。」

「雲雀・・・。」

「君はこの子が好きなの?」

雲雀が唐突に質問した。

「これはもう好きとか嫌いとか、そういう問題じゃねーだろ。」

山本が半ば呆れて言った。

「好きでもない人を助けられるなんて凄い人だね。」

「それはお前がおかしいんだろ・・・。」

「それより、あの子は僕の玩具だから。手、出さないで。」

お前が話を逸らしたんだろ・・・と突っ込む間もなく、山本は雲雀によって攻撃をくらっていた。

「う・・・ぁ・・・。」


「相手がきみでも、容赦はしないよ。」


もう一発、雲雀が山本にトンファーを振り下ろす。

ガゴッっとすごい音がして、山本の体が傾いた。

・・・

山本の体が床に横たわった。

まだ尚も殴ろうとする雲雀を、ガラガラっという

戸をあける音が邪魔をした。



「・・・誰?」

雲雀は振り向き、問うた。

「俺だぞ、ヒバリ。」

そこには自称ヒットマンという赤ん坊のリボーンが

立っていた。

「ワォ、赤ん坊。今邪魔しないでくれるかい?」

「せっかくだがヒバリ、もうそろそろ勘弁してやって

くれないか?こいつ、結構ツナのこと、助けてくれて

るんだ。」

「僕には関係のないことだね。」

「そう言うな。俺の言うことが聞けないのか?」

「・・・・・・。」

「こいつは・・・。」

リボーンはバジルを見ていった。

「俺の友の弟子なんだ。」

「ふぅん。」

雲雀は興味ない、っといったかんじで言ったが、

「じゃあ、赤ん坊。今度僕と骸を闘わせてくれる?」

そのヒットマンはフッっと笑った。

「もちろんだ。」








しばらくして、その応接室には横たわる、二人の少年

しか、いなくなった。

そして、背の高い少年は起き上がり、小柄な少年を

抱きかかえた・・・・・・。

☆★☆★☆★☆★

やっと終わったぁー!

でも、次の話と続きます。

実はBL小説書くのはじめてなんですが、結構楽しめま

した。

次はもっとましな文章を書きたいです。

こんな駄文に最後までおつきあいしてくださった方、

ありがとうございました。


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