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NOVEL!
ストレス解消(山バジ)
『ネタミとキュウシュツ』と若干続いています。

15禁以上

黒山注意。暴力有り。






















「なぁ、バジル。」

山本が呟いた。

「俺、やっぱりスタメン降りようかな・・・。」

いつも強気で明るい彼から発せられる言葉は弱々しかった。

「山本殿・・・。」

「俺、何もしてねぇぜ。ただ、野球が好きで、夢中になって練習していただけなのに。」

「おぬしは悪くありません。そして、先輩方だって、悪いわけではありません。」

「そんなこと、わかってんだよ!じゃあ、どうしろってんだよ・・・。」

「山本殿・・・すみません。拙者は何も役に立たずに。」

バジルがしょんぼりと項垂れた。

「そんなことないぜ。」

ふと、思いついたように山本が言った。

「俺ん家来いよ。」


















































なぜ、早く気がつかなかったのだろうか。

彼が何をしようとしているのか。

もう少し、考えてから行くべきだったのだ・・・。











































「山本殿?」

「バジル、悪いな。わざわざ来てもらって。」

「いえ、山本殿の悩みなら、なんでも打ち明けて下さい。拙者ができるのはそれくらいですから。」

バジルが言うと、山本はにっこりとほほ笑んだ。

「ありがとな。ここ、俺ん家。」

山本がバジルの先に立ち、玄関を開ける。

「今日、店は定休日で、親父は出かけてるから。遠慮しないでいいぜ。」

バジルは恐る恐る店へ入った。

「御邪魔します・・・・・・。」

山本がハハッっと笑う。

「店で『御邪魔します』なんて、普通言わないぜ。」

「そ・・・そうですよね・・・。」

言ってから、バジルは苦笑した。

だが、いやな予感は笑いで吹き飛ばないようだ。

先ほどからずっと感じているこれは何なのだろうか。

「俺の部屋、こっちだぜ。」

山本が階段を上がっていく。

バジルもあとに続いた。

「入れよ。」

バジルは緊張しながら部屋に入った。

そこには、見るだけでも野球少年の部屋、という感じだった。

ユニフォーム姿の山本の写真や、サインか何かが書いてあるボールまであった。

こじんまりとしていて良い。

「ベッド。座れよ。」

「でも・・・。」

ベッドは本来座るべきものではない。

「遠慮すんなって。」

山本はバジルを促してベッドに座らせ、自分も隣に座った。

「山本殿・・・。」

バジルは山本を案じ、横に顔をやった。

「バジルだって、知ってんだろ。俺、先輩たちから・・・。」

山本が暗い表情でバジルと目を合わせた。

「はい・・・。」

バジルも少々顔に影がさした。

何もできない自分はとてつもなく不甲斐ない。

「でも俺・・・。ストレス解消法、見つけたんだ。」

山本の声が少し、明るくなる。

「そうなんですか。その方法で、どんどんストレスを解消してくださいね。」

バジルがにっこりとほほ笑んだ。































「そうだな。」







































「が・・・!?」


























何が起こった!?

バジルの頭の中は混乱していた。

痛い。頬が痛い・・・・・・。

まさか・・・。とは思うが。





殴られた!?









「山本殿・・・・・・。」

山本は笑顔で言う。

「俺って、S気性なのな。最近気がついた。」

「山本殿、おぬし・・・。」

バジルは殴られた頬を抑えながら山本をにらんだ。

「他人が苦しんでるの見ると、俺、すげぇ嬉しくなるのな。」

嘘だ。こんなに優しくて、誰にでも好かれて。

そんな彼が・・・・・・。

「だから俺、最近学校のやつらとケンカして遊んでんだ。」

嘘だ・・・・・・。

「俺、やっぱ狂ってるのかな。」

山本殿・・・・・。

「山本殿、おぬしはそのような気性の持ち主ではありませんよ。おぬしは優しくて、思いやりがある方ではありませんか。」

「気づいちゃったもんはしょうがねぇだろ。バジル。」

山本がバジルの顎を掴んだ。

「・・・・・・っ。」

肩がビクッと震えた。山本はそれに誘われる。

「バジル・・・。」

バジルは顔を逸らそうと必死で抵抗する。

「おとなしくしろよ。」

そして山本は。

もう一度バジルを殴った。

バジルはベッドから落ち、呻き声をあげる。

「う・・・。」

山本はしゃがむと、バジルの胸倉を掴んだ。

「バジルには、赤い血の色が似合うのな。」

唇を切って、出血しているバジルに、山本は怪しげな笑みを浮かべた。

「もっと、綺麗になろうか。」

「や・・・だ・・・。やめ・・・。」

震えでうまく話せない。文章にならぬうちに、山本はバジルの口を塞いだ。

彼の、唇で。

傷口を容赦なく、舌でなめられた。

バジルは痛みに抵抗する。

「ゥウ・・・。」

胸倉を掴まれていて苦しいのと、酸素が不足していて苦しいのとで混ざり合う。


ドガっ・・・とまた殴られた。

今度は腹だった。

バジルの意識が飛びかけた。

飛んでしまえば楽だったものの・・・。

案の定、山本がバジルの意識を呼び戻した。

「うう・・・。」

バジルが呻いた。

山本は彼の髪を掴んで、上を向かせた。

「う・・・ぁ・・・。」

「バジル、可愛いな。」

「放し・・・て・・・くださ・・・い・・・。」

山本はハハッと笑った。

「俺に指図するのかよ。状況考えてみろよ。」

バジルの目には、山本は鬼として映っていた。

「やま・・・も・・・と・・・どの・・・。」

山本はもう一度、バジルを殴った。

バジルの意識は、闇の中へと沈んでいった。































目を覚ますと、そこはベッドの上だった。

体中が痛い。少し動いただけで、殴られた箇所が痛む。

身体の自由が利かない・・・どうして・・・




















「おはよう、バジル。」

横に目をやると、山本の笑顔が写った。

なぜ、自由が利かないのだ・・・と思案して、腕を動かしてみる。動かない。どこから?


頭の上から。



バジルの両手首は、彼の頭の上で紐により、戒められていた。

「バジル、その姿似合うな。」

山本がベッドに近づく。

先ほどのことが思い出されて、恐ろしさに身が震えた。

山本はバジルのワイシャツに手をかけた。

何をするつもりなのだろう、とぼんやり考えていたバジルだったが、山本がしようと試みていることを悟っり、焦った。

山本はワイシャツの一番上のボタンから、ゆっくりと外していたのだ。

「やめてください、山本殿!」

バジルは抵抗した。いや、抵抗したつもりだったと言うべきか。

身体の自由はきかない。思う通りに動けない。

バジルの胸があらわになる。

修行で鍛えられた腹筋が顔を見せた。

「バジルって色白なのなぁ・・・。」

山本はバジルの肌を指で撫でた。

「うぁっ・・・。」

寒気が全身を覆う。

山本はしばらくバジルの肌を撫で、遊んでいた。その度にバジルは声を上げる。

やがて飽きてしまったのか、山本は立ち上がった。

「俺、ちょっとトイレ行ってくるから。」


おとなしくしてろよ、と付け足し彼は部屋から出て行った。

バジルはおとなしくしているわけもなく、必死でもがいた。

戒めはなかなかきつく結んであり、手首を動かす度に痛んだ。


ブチっっと何かが切れる音がした・・・と思ったら、バジルの手首の戒めは解かれていた。

紐が切れたのだ。

ラッキーにも程があるが、逃げない程バジルはお人よしではない。

彼は一目散に部屋を飛び出した。

眩暈のする体を叱咤して、バジルは階段を一段ずつ駆け降りる。

「竹寿司」と書かれた暖簾をくぐり、スライド式のドアを開けて外に飛び出そうとした。



が、正面に何かがぶつかる。

バジルはその何かに包まれた。

「バジル君?」

聞き覚えのある声にバジルは安堵し、体重を預けた。

「沢田殿・・・。」

顔を上げると、はてなマークをいくつも頭の上に浮かべている沢田綱吉の顔があった。

「バジル君、山本ン家来てたんだ。山本、上にいるの?」

ツナが家の中に入ろうとする。

「いけません、沢田殿。今行っては・・・。」

「どうかしたの?バジル君。」

慌ててツナを止めたバジルを不審がって、ツナが足を止めた。

「山本殿は・・・。」

なんと説明をしたらよいのだろうか。






「俺は元気だぜ、ツナ。」






山本の声が聞こえた。バジルは恐縮する。

「ツナ、あがってけよ。」

「いけません、沢田殿。」

「え、何かあったの?」

ツナが山本に尋ねる。

「何にも。それよりバジル・・・。」

山本がにっこりと笑った。

「おとなしくしてろって、言ったよな。」

その後、ただ意識が遠のいたことしか覚えていない。









































「ん・・・?」

バジルはもっと寝ていたい、という思いに駆られた。

「目が覚めたか。」

先ほどのことが、頭の中で蘇った。

「山本殿・・・。」

そして、気がついた。ツナも一緒だったということに。

「沢田殿は・・・。」

「ちゃんと寝てるぜ?」

山本はベッドの上を指差した。

・・・・・・自分は今どこに。

沢田殿が上で寝ているということは、下にいるのか。

だが、寝ていたにしては体が辛い。

現に。

座っていた。

山本のほうからみたら、膝は曲げさせられていて、内側を向いているため、Wの様な形に見えるであろう。

「う・・・ん・・・?」

ツナが目を覚ました。

「沢田殿!!」

バジルがツナを呼ぶと、彼は目を丸くした。

「バジル君、首になにか巻き付いて・・・。」

「えっ・・・?」

バジルは目をやろうとしたが、いきなり息ができなくなり、もがく羽目になった。

「う・・・ぁ・・・。」

いったい何がどうなっているのだ。

体が浮きそうだ。

体が・・・?

何を基準に・・・・・・?

首だった。

首から上に向かって伸びている綱を、山本が持っていた。

ヒューヒューとのどが音をたてた。

「や・・・ま・・・」

綱に手をかけようと思ったが、手が動かない。

今更、という感じではあるが、バジルは自分が後ろ手で縛られていることを悟った。


「山本!?何やってんだよ!」

ツナがベッドから起き上がり、バジルに駆け寄ろうとする。が、叶わない。

ベッドに、彼の右手首から伸びている鎖が巻きついていたからだ。

「は・・・っぁ・・・。」

バジルが辛そうな声を上げる。

「山本!!」

ツナが叫んだ。










と同時に部屋のドアが開いた。










「父さん!?」


「親方・・・様?」




























「山本武・・・お前何をやっている・・・。」

そこには怒りをあらわにした、沢田家光が立っていた。

「俺の息子と、バジルを放せ。」

「なんでここがわかったんすか・・・。」

山本が低い声で訪ねた。

「奈々が、ツナは山本の家に行った、と言っていたからだ。残念だったな。山本。今すぐバジルの綱を解け。」
























そのあと、山本は渋々ツナと、バジルの戒めを解き、大人しく彼らを見送ったそうだ。

次の日、山本は普通に学校へ来ていた。


そして、ツナとも、普通に話していた。
☆★☆★☆★☆

ちょっと長くなりましたが、これで終了です。

大好きな黒山本を書くには誰が受けになればよいのか。

思案した結果、バジル君になりました。ので、今回、バジル君はだいぶ痛かったと思います。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。



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