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俺だけの王子 01
俺だけの王子 01


世界的に有名な白雪財閥の家系に生まれた四男坊。
それが俺、白雪 姫乃、十五歳。
俺は、今年の四月に自宅近くの公立高校に入学したばかりだ。
有名財閥の家系に生まれながら、どうして公立高校に通っているのか、それにはちゃんとした訳がある。
父様は髪も瞳も漆黒の純日本人という感じの美形で、母様は金髪に青い瞳のイギリスの血を半分受け継いだ美人である。
そう、俺はいわゆるハーフと呼ばれる血を受け継いだクォーターという人種だ。
白に近い銀髪、少し濃い桜色の瞳。
俺は何代か前の先祖返りというもので、親兄弟とは変わった容姿をしている。
それを変に思ったことは正直ないとは言えないが、家族は人一倍優しくしてくれるので気にはならなかった。

「ひーちゃん」
「何、志乃?」

実は、俺は双子だったりする。
一卵性の双子であるが志乃は、母様の遺伝子を完璧に受け継いだ金髪で水色の瞳。
それに加えて、数秒差で先に生まれた志乃は王子様のように格好良い。
俺たちは、一卵性の双子には見えないくらい似ていない。
それに俺には、あと二人の兄がいる。
こちらも一卵性の双子で俺たちとは違って同じと言っていいほど似ている。
そして、当然のように美形である。
父様に似て格好良い。
そんなこんなで家族全員が美形なわけで、小さい頃はそれが自慢だったが、最近ではコンプレックス以外の何者でもない。
俺の両親は兄たちを“格好良い”と言うのに対して、俺だけ“可愛い”と言う。
俺が目指しているのはあくまで“格好良い”であって、決して“可愛い”ではない。
という事情により、兄たちが通う全寮制の男子校に行きたくないが故にわざわざ公立高校を受験したのだ。
最初は両親も渋っていたが、気が変わったのか許してくれた。
実際、俺は四男だから跡を継ぐわけではないからだろう。
もし、これが長男か次男だったならば、こう上手くはいかなかっただろう。
家業を継ぐのは兄たちであり、俺には関係のないことだ。

「ひーちゃん、聞いてる?」
「聞いてる聞いてる」

普通の兄弟と違って俺たち兄弟は仲が良い方だと思う。
喧嘩なんて一度もしたことないし、一緒に出掛けたりなんかもよくする。
少々過保護すぎるところもあるが、兄たちは本当に優しい。
コンプレックスとか思いつつも、俺は兄たちのことが好きだ。
ただ少し鬱陶しい時があるけれど。

「もう寮に帰らないといけないんだ」

寂しそうに言った志乃が抱きついてきて、俺との別れを惜しんでいる。
数時間前にも、これとよく似た光景があった。
長男の葵と次男の茜も、この少し長い休日を利用して帰省していた。
だが、二人は急な用事ができたらしく、志乃を置いて先に帰ると名残惜しそうに俺に抱きついたり、頭を撫でたりしていた。
また次の休みにでも帰ってくればいいのに、と思うのは俺だけなのだろうか。

「ほら、また休みに帰ってくれば会えるだろ?」
「寂しいじゃん……」

美形のくせして、志乃が言うことは甘えたなことばかりだ。
結局、俺は無理矢理志乃を納得させて学園に戻らせた。
これが、今の俺の日常。



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