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赤い蜜(高土)


警察と犯罪者


俺達を隔てる壁。
唯一つの壁。

それは馬鹿みてェにデカくて、馬鹿みてェに厚くて。




けど、可笑しいとは思わないか?




俺達は国を護るという志は同じなんだ。
過去、現在、ほんの数年のずれが俺達を擦れ違わせただけなんだ。

肩を並べて歩く筈だろう?
肩を組んだっていいだろう?
御国の為だって一緒に刀を振るう筈の相手に刀を突き合わせるなんて、滑稽な話だとは思わないか。



何処か間違ったんだと思う。
その何処かが見つかればいいのになって。
その何処かを正しい道に直せればなって、思うんだ。


そうすればきっと俺達は一緒だったんだと、そう思うんだ。
だって俺達は似た者同士だろう?
護りたいモノを護る為にがむしゃらに馬鹿みてェに声を張り上げて刀を振るって泥塗れになりながら血塗れになりながらそれでも這いずる様に生きる俺達は酷く似ている。


詰まる所、俺はアンタと生きていたって良かったんだと思う。それは許される事じゃねェけど。
だって俺はアンタが壊したくて堪らないモンを護らなくちゃいけねェ。
別に俺が護りたいって訳でもねェんだが、俺の護りたいモノを護る為に護らなくちゃいけねェから。



どうやったら俺とアンタは上手く行くんだろうな。
まぁ答えなんて出ないし、出るとしても聞きたくねェ様なもんしか出ないって分かってるから、言わなくていいけど。


このままずるずる生温い関係が続けばいい。
はっきりとした答えを求めたらきっと99%の確立位でバッドエンドだろう?
1%のハッピーエンドなんて無いに等しいじゃないか。



「なら、俺が無理矢理にでも作ってやる。」



譫言の様にだらだらと一人で言葉を吐いていると、突然其れに言葉が返って来て、思わず目を見開いた。

目の前の隻眼はニヤリと口を歪める。
この男ならやりかねないと、俺からは苦笑が零れた。



「狂ってるぜ、アンタ。」

「テメェもな。」



思わず笑いが零れて、お互い顔を見合わせた。
そしてまるで決まり事かの様に、ゆっくりと顔寄せた。








赤い蜜
(どろどろと堕ちて行く)




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