地獄の終止符(政小/死ネタ)
伊達政宗による天下統一。
それが日ノ本を駆け抜けてから数日が経った。
「政宗様。」
久方ぶりに会う政宗の姿に、小十郎は思わず目を細めた。夕焼けを背にしているからだろうか、その姿が輝いて見えた。
「政宗様、遂に貴方の天下です。」
頭を下げ、もう一度上げれば、政宗はフッと小十郎に笑いかけた。
この様に笑う政宗も久しぶりだと、小十郎は頬を緩めた。
「俺の、天下?」
静かに響いた政宗の声に、小十郎は目を閉じた。
「No…お前の、天下だ。」
「政宗、様…」
目を開けば、その姿は透き通る様で。
「何を、仰っているのか…」
「…もう、いいだろう?小十郎…」
切なげに呟かれた政宗の言葉に、小十郎は言葉を出せなくなってしまう。
「もう、お前は自分の為に生きろ。」
「…ご冗談、を。」
口内がカラカラと乾く。
上手く喋れない。
「この小十郎、政宗様の右目として、生きると決めたのです。」
「小十郎。」
諭す様な声に、耳を塞ぎたくなる。
嫌だ、言わないでくれ。
お願いですから、政宗様。
「俺は、もう」
「政宗様―――」
「死んでるんだ、小十郎。」
風が、吹いた。
右目を覆う眼帯が落ちて、久方ぶりに指す日の光が酷く目に染みた。
「政宗、様。」
「お側に、行かせてください。」
貴方の天下は造り上げた。
もう、俺の役目は終わった。
「No…小十郎、お前は」
「政宗様…後生、ですから…」
脇差に手を添える。
その手が、情けない程震えていて、思わず苦笑した。
「…仕様のねェ家臣だぜ。」
風にかき消されそうな程小さな声がして、小十郎は笑った。
地獄の終止符
(貴方がいなければ、俺は)
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政宗は戦死。
小十郎は自らが伊達政宗だと名乗り、天下統一を成したという設定(分かりにくくてすいませ…!)
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