夢と君(伊真/死ネタ)
「何時か、アンタと戦わずに済む世界が来ればいいな。」
「そうでございますな。」
何時だったろうか、ああ、そうだ、あれは昨年の春の事だった。
縁側に二人腰掛けて、アンタは俺の作った団子を嬉しそうにほうばって。
微笑みながら、そんな夢物語を、話したんだ。
俺がその世界を創るのだと言えば、アンタは何時もの様に虎のオッサンを叫んで、また二人で笑いあって、
「真田幸村。」
横たわる紅を抱き上げた。
「なぁ、真田、幸村。」
紅が零れた唇が開かれる事は無く。
腹から流れ落ちるアンタに似た紅は止まる事を知らず。
「俺は、」
望んだ世界の為だった。
いつか、アンタと、
その為に、ここまで、走って来たのに、
なのに、
「アンタがいなきゃ…意味ねェんだよっ…!」
夢と君
(君がいない世界なんて望んでいなかった)
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