「だー!!もう!!上条のせいだからね!」 「だからごめんって言ってるだろ!!とりあえず今は走るんだ!!」 只今名前含めた4名、上条当麻、土御門元春、青髪ピアスは購買へと向かって全力疾走しているところだ。 事の発端は、昼休み前最後の授業で上条当麻が教師に突拍子もない質問をし、熱く語り始めた教師が止まらなくなり授業時間が長引いたせいだ。 「よーし!もうすぐだラストスパートォォォォ!!!!」 何故全力疾走しているかというと、簡単な話、昼休みは戦争なのだ。 「うぉぉぉぉぉ!!飯ぃぃぃぃぃ!!」 「誰にも渡さん!!私の飯ぃぃぃぃぃ!!」 そう。購買、食堂は激しい争奪戦、いわば半日授業を受けた腹ぺこな亡者達が一斉に戦う戦場なのだ。 そして、目をギンギンに光らせ炎が噴射してるんではないかというくらいの猛スピードで購買にたどり着いた名前達が見た光景とは 「…何っ!!」 「名前ちゃん、どないした…って!!これは…!!」 「なん…だと…!?」 「馬鹿な…!!」 ものの見事に空っぽになった購買と、全て売切れになった食堂であった。 「お、遅かったにゃー」 「なんでやねん!昼休み始まってからまだ5分経ってないで!」 「くそっ!こんなのある訳ねぇ…こんな幻想ぶち壊しぶべらっ!」 「かっこつけてんじゃないわよ!私達昼飯ないのよ!どーすんだよ!」 ばたりとその場に倒れた青髪と土御門。名前にいたってはまだ体力が余っているようで訳の分からない事を言い出した上条を思いっ切り殴った後両手で頭を抱えて叫び出した。 「…飯、食えないのかな?」 鼻血を出しながらボソッと呟いた上条。その言葉に3人は完全に固まる。 「あかん、あかんてそれはあかん。まだ午後の授業あるんやで?死んでまうやん。」 「うぉぉぉ…考えたら余計腹減ってきたにゃー…」 青髪と土御門は、かんぜんに床に手を着いてどんよりとした空気をだしている。それと同時に鳴り出す4人のお腹。 もう、残す手段は1つしかなかった。 名前は、ゴクリと唾を飲み言葉を吐いた。 「脱走じゃあああぁぁぁぁ!!!!」 ♂♀ 「右よし!!」 「左よし!!」 「後ろもOKやで!!」 「よし…ミッションスタート!!!」 4人は、今学校の裏口にいた。正門から出れば、明らかに見つかると考えたからだ。 4人は当たりを見回し誰もいないのを確認すると、ミッションスタートの合図と共に全力疾走した。 「うおぉぉぉぉ!!!」 「飯ィィィィィ!!!」 全力疾走した先には、金属製のフェンスがある。それを乗り越えればもう勝ったも同然なのだ。 4人は一気にフェンスに上り、自身の身体能力を駆使して勢い任せに乗り越えた。 着地もかっこよく成功し、誰もが「よし、勝った…」と思った瞬間だった。 「ゴラァァ!!てめぇら何してる!!」 振り返れば、フェンスの向こうにゴリラ、もとい災誤先生の姿が。 「げっ!見つかった!」 「と、とにかく逃げるわよ!」 「散らばって逃げるぞ!」 「よし!コンビニでまた会おう!」 4人は、武運を祈ると言わんばかりの緊張感を持ちながら大魔王から逃げる。 しかし、大魔王はそれより早かった。 いつ最大の障害物にして最初の防御であるフェンスを乗り越えたのか、いつのまにかすぐ後ろに迫っていたのだ。 「チッ!!このままじゃ皆捕まるわ…!」 「どないしよう名前ちゃん!」 「仕方ない…」 名前は、一呼吸置き、青髪ピアスを見る。 「愛してるわ、青髪ピアス…」 「え、急に何!?命の危機になると自分の遺伝子を残したくなる本能に似たこの展開何!?」 「私…」 「僕も愛してるでぇ!!」 さすが青髪ピアス。こんな状況でも変態なのは変わらなかった。鼻の下をデレデレのばしてくねくねしながら走り出したのはスルーしよう。 しかし、次の瞬間青髪ピアスの体が宙に浮いた。 「私…あなたが死んでも忘れないからっ!」 「え、ちょ、え…」 正確には、投げられたのだ。大魔王に向かって。 そう。名前は青髪ピアスを尊い犠牲になってもらう道を選んだのだった。 物凄いスピードで投げられた青髪ピアスは自分の状況を理解する前にゴリラの顔面に勢いよくぶつかり2人して気絶した。 「許せ、青髪ピアス。」 そして、名前は振り向かずに走って無事に学校を出る事に成功したのだった。 ♂♀ 「上条ーっ!」 「おお!無事だったんだな!」 名前が最寄りのコンビニまで行くと、すでに上条がコンビニの前に立っていた。 「あれ?土御門と一緒じゃなかったの?」 「いやー、それが途中ではぐれちゃってさ。そっちこそ、青髪ピアスと一緒じゃなかったか?」 「ごめん、青髪ピアスは…もう…」 「え、全然展開が見えないんだけど」 「ううん、忘れて!!それより早く弁当買おう!!一応、4人分ね!」 「いやー、よかったね!弁当買えて」 「つーかお前、どんだけ食うんだよ」 無事に食料を確保できた2人は再び学校へ向かう。名前は空腹に耐えられなかったのかアイスを頬張りながら歩いている。 「つーか、荷物俺が持つよ。重いだろ」 「あらー、紳士なのねー。じゃあお言葉に甘えて」 荷物だけではなく、さりげなく道路側を歩いてくれているのに気づいていた名前は、上条をからかって腕に絡み着いた。 「ちょ、やめろって」 「ふふふー!照れてるー!」 さりげなく上条の腕に当たる小さな乳、略してちっぱい。ちっぱいでも、乳は乳だ。 上条も男だ。緊張しない訳がない。顔を真っ赤にしながら体を固くした。 そんな2人のイチャコラを、見ている人物がいた。 「なんでアイツが三下と一緒にいンだよ」 |