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Dear A
▼ 天才と馬鹿




「んで、ドリトルが何だって?」

「…オマエ、人の事馬鹿にしてンのか?」



一方通行は、隣について来る少女に盛大なため息を着く。チンピラ共を倒してからさっさと家に帰ってコーヒーでも飲もうと思っていたのにどこまでもついて来るこの少女。


「だってー、力の向き?とかよく分かんないし。」

「ベクトルっつってンだろォが。」


この少女は、能力者とは思えない程馬鹿だった。一方通行はそんな少女に憐れみの視線すら向けた。どんな能力なのかと聞かれたから答えてやったのに少女――名前は何も理解出来てない。



「てめェも能力者なら演算くらいしてンだろ。」

「演算?」

「…計算。」

「何の?」



一方通行は、一瞬間をおいて再び盛大なため息をついた。



「オマエどうやって能力使ってンだよ。そンなンでコントロール出来てンのか?」

「まぁ、体で覚えるタイプだからね。頭を使うのは苦手だから。」



へらっと答える名前。
そして何を血迷ったか、とうとうこんな事を言い出した。



「よし分かった!!喧嘩しよう!」

「はァ!?馬鹿なンですかァてめェは。」



一方通行のそんな言葉を無視してニコニコとやる気満々な笑顔で喧嘩してもよさそうな場所を探し出した名前。



「ほら!あそこの公園!誰もいないよ!」

「(どっかで撒くか…)」



一方通行の考えなど全く気にしないと言わんばかりの名前。見つけた戦闘フィールドまで走って行った。



「(帰るか。)」

「ちょっと!」



公園に走って行った名前の背中を見ながら、公園を通りすぎようとした一方通行。そんな一方通行に気づいた名前は公園から大きな声で一方通行を呼び止める。



「(無視無視。)」

「逃げるの…?第一位ともあろうあんたが」

「…てめェ。びびってちびるんじャねェぞ」

「(ぷぷっ。楽勝だな。)」





♂♀





「最強って分かってるんだから最初から全力で行くわよー」

「勝手にしろ」



余裕そうに頭をぼりぼりかく一方通行を見て名前はフッと少し怒りを込めて笑い一気に攻める。



「うぉりゃあああぁぁぁぁ!!」

「…!」




近くにあった街頭を両手で1本ずつ抜き一方通行におもいっきり投げつける。

しかし、当然ながら一方通行は自分の能力で街頭を2本とも跳ね返し名前の方へと飛ばす。



「…マジ?」



ブーメランの如く自分の方へ帰ってきた街頭を2本とも何とかキャッチする。



「反射するのがあんたの能力?」

「さァな。」



一方通行は、まだ一歩もそろから動いていないどころか戦う意思すら見えない。



「なめてんじゃないわよーっ!」



そんな態度に悔しさを隠せなかった名前は地面をおもいっきり殴る。すると地面は粉々に砕けちり足場がなくなる。その距離、半径約50m。

しかし、一方通行の周りだけは砕けない。



「…あれー?」



渾身の一撃もさらっと交わされた名前。いや、交わされたというよりは当たらなかった。涼しい顔をしている一方通行を見て苦笑いをする名前。



「ねぇ、なんで当たらないの?」

「だから、力の向きを操れるっつってンだろォが。」

「つまり、常識とは反対になっちゃうのね。」

「……。」



いまいちよく分かっていないのに納得した名前。名前は、あははと笑ってからその場にどんと座り込んだ。



「参った!」

「ハァ?」

「いやー、最強なわけだ。今の私じゃかないっこないよ」

「一生かなわねェよ」

「うぅ。」

「オマエ、レベルは?」

「3。」

「(コイツが3?4はあってもおかしくねェが。)」



少し不審がる一方通行をよそに、よっこいしょと立ち上がりながら瓦礫になった公園を気をつけて歩いて出る名前。



「ほら、逃げるわよ!」

「逃げるだと?」

「だって公園なくなっちゃったじゃん。ほらっ!走るぞもやし!」

「もやしじゃねェ!」




この日のニュースに『テロか?公園突然消える』というタイトルがあったのは言うまでもない。








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