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人間1つは怖いものがある(銀妙)
その日は酷い雨風だった。



時折雷もなっていて、まさに低気圧のド真ん中にいるような。





そんな天候にも関わらず、妙は仕事場の『スナックすまいる』に来ていた。























「あら、酷い雨…」




店の軒先で妙は空を仰ぐ。



仕事に疲れていざ帰ろうとしたら、曇天からは非情な程の雨。




雷を伴うそれは、いつも無敵を保持している妙の心に一抹の恐怖を与える。





生憎傘を持ってきていなかったので、もう少し雨宿りしてそれでも止まないならば濡れる覚悟で帰ろうと思った矢先。




「おい、んな所にボーっとつっ立ってたらナンパされっぞコノヤロー」




聞き慣れた声、聞き慣れた口調。



条件反射で振り返ると、そこには傘をさした想い人。



いつものバイクに乗って、傘をさしていた銀時は自分の後ろのスペースをたたく。




乗れ、と言っているのだ。




「あら、バイクで傘なんて意味ないんじゃありません?」



「いい歳してカッパ着るよりマシだろ」




投げ渡されたヘルメットをかぶり、銀時の後ろに乗って広めの傘を広げる。




その柄は、先日銀時に貸した傘と同じだった。





「あー、ついでにその傘も返すわ」



「ついでに、は余計です。それにこういうのは、ちゃんと本人に…」




小言が苦手な彼はろくに聞かずにバイクを走らせる。




幸運にも走る方向が風下だった。






「それにしても珍しいですね、いつもなら頼んでも迎えに来ないのに」



「違ぇーよ。今日はジャンプ買うついでだよつ・い・で!」




ついでのついでに傘を返すのにいささかイラッときた。




だが、その言の葉は偽りだとすぐに気付いた。











ジャンプ愛好家が、こんなジャンプが濡れる雨の日に買うはずがない。












それを分かった上で、妙は何も言わなかった。








「しっかし酷い雨だなオイ。ちょーお前んとこの風呂借りていいか?」



「構いませんけど、新ちゃんが寝てますから静かにお願いしますよ」



「ついでにもう泊めてくんね?こちとら寝不足だ」




今口を開けると都会の空気が混じった雨が入り込むため、銀時はあくびを堪えながら言う。





下心なしのそれは、雷の強い夜に1人で起きている妙に安心感を与えた。




その広い背中を濡らさないように寄りかかって、なりやまない雷と吹き荒れる風を、何の恐怖心もなく感じていた。

























「にしてもマジで雷強ぇーな」



「丁度いいわ、その辺に潜んでるゴリラストーカーに避雷針になってもらいましょ」



「…」
















(雨シリーズ第四段は銀妙で(^^)v
お妙さんは怖いもの知らずですヨ)

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あきゅろす。
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