65000。逆ハーギン落ち
護廷隊、今日も平穏無事な1日が始まります──────‥
『五月蝿ーい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
平和?
んなわけない。
毎日毎日…くだらない奴等の相手、相手、相手…
あたしは確実に、いつかこのくだらない奴等を殺ってしまう気がする。
『檜佐木、阿散井、今すぐ死ねば?てゆーか死んでしまえばいいと思う、あたしはそれを限りなく望んでるわ』
「笑顔で毒舌。そーいう所がいいんだよな」
『黙れドM』
「檜佐木さんは気色わりぃな…」
『阿散井?あんたも同じようなもんだから…つーかお前ら仕事しろ!』
私が属する三番隊。
多分この三番隊は、どこの隊よりも訪問者の数が多い隊だと思う。
その理由は、自分で言うのもなんだけど私目当てに、ってのが一番の理由。
なんで?そんなのまではわからない。
『吉良ーお茶!そしてすあま!』
吉良は好き。
あたしの言う事素直に聞いてくれるし、文句言わないし。
…まぁ…殆ど意見する奴はいないけれど。
「あれですね、この隊はいつになれば落ち着くのでしょうか…」
『ほんとよね…』
吉良が淹れてくれたあたし好みの熱めのお茶を飲み干すと、廊下が軋む音が耳に届き、大きな溜め息を一つ。
「苗字!!」
『扉は静かに開けるー!!』
「おっはよー名前!!」
全身殺気で纏われた大男に、掴みどころのない小さな女の子。
それが十一番隊の更木に草鹿。
「今日こそ決着つけようじゃねぇかァ!」
『おあいにくさま。あたしむやみやたらな殺生はしない主義ですから』
「仕方ないよ〜名前は剣ちゃんのお気に入りなんだもん!」
満面の笑みで微笑みかけてくるから思わず頷いてしまいそうになるけど、そうはいかない。
更木と殺り合う気なんて更々無いし、
殺気立つ更木のせいでうちの隊士達びびっちゃうし、
何よりあたしの仕事が進まない。
それじゃなくてもあの馬鹿二人組のせいで仕事遅れてるって言うのに…
『ほら帰った帰った!あたしは忙しいのよ!』
それから15分。
渋る更木と楽しむ草鹿をやっとの思いで追い返し、自分の定位置に座り定時までに仕上げてしまいたい報告書に手を伸ばす。
しかしその報告書も書き初めて間もない内に邪魔が入ってしまう。
「名前君、一緒に茶菓子でも食べよう!」
「いやいや、一杯やろうじゃないか」
『霊圧一切消してこないでって言ってるじゃないですか!』
浮竹隊長に京楽隊長。
この二人は霊圧を探る事が出来ない程巧みに気配を消すから厄介だ。
「休憩しても誰も文句は言わないだろう?」
『休憩し過ぎています」
「大丈夫、大丈夫」
『んなわけないじゃないですかぁ…』
駄目だとわかっているのに、二人のペースに乗せられてしまう私はまだまだ駄目だ…
『吉良ぁ?』
「はい?」
『もう帰っていいよ』
吉良は自分の仕事をしっかり終わらせている。
私の仕事までさせたくない。
「しかし…隊長の…」
『大丈夫だよ、もう帰ってくる「ただいまぁ」
…ほらね。』
「イヅルまだ居たん?仕事終わったならはよ帰り」
この威圧に満ちた笑顔を見て逆らうものは居ないだろうと私は思う。
「それじゃ…お先に」
静かになった執務室で私はやっと仕事に精を出す…
…出したい。
『腕、邪魔です。』
「…今日は何人の男やってきたん?」
『いつもと変わらず』
「いつもと変わらずねぇ…」
後ろから抱き着くなんて卑怯だと思うのは私だけなのだろうか。
腕まで押さえつけられたら何も出来ないのに…
「忘れてへんと思うけど、名前は僕のやからね?」
『はいはい』
昨日も聞いた言葉に思わず笑いが出た。
「なんで笑うん?」
『別にー』
私の毎日は、
頭を抱えるぐらい騒々しくて、
そして、
愛しい人が私を愛してくれる、そんな日々。
今日も、明日も、変わらないまま
それが一番幸せだという事は、わかっている。
(ギン、いい加減離しなさいよ)
(まだいいやんか)
(…檜佐木達とデート行こうかな)
(さて!仕事せなあかんよね!)
20100512.
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