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長編
擬似恋愛 10





今更気付いたって、もうどうにもならないのに。










彼奴の事が好きなんて。









10



日番谷が誰と付き合う事になっても私には関係ない事だと思っていた。
思って…いたのに…



『‥見るな、って…』


日番谷が私と別れて雛森と付き合っている。
私が日番谷と別れて一護と付き合っている。
それは瞬く間に広がった。

今でも日番谷と雛森が一緒にいるところを見ると目を反らしてしまう。

それなのに見てしまうのは私が馬鹿だから。



「帰るぞ」
『あ…うん』



慌てて席を立つと一護は軽く笑った。

最近はずっと一護と一緒に帰っている。
一護が迎えに来てくれるから。



廊下を歩いていると前を雛森がこちらに向かって歩いてくる。
私は視線を反らし、少しだけ一護の方に寄った。
でも、私の右肩は、雛森の左肩と僅かに接触する。



「‥ごめんね、亜依美ちゃん…」
『いや、こっちこそごめんなさい…』



だけど明らかだった。
雛森は偶然じゃなくて故意に私にぶつかった。

何故かはわからない。
そんなもの私にわかるわけがない。
私は今あのこの敵ではないんだから。
あのこが欲しがっていたものは手に入れているはず。
なのに、何故…




考えても答えは出ずに、行動は段々とエスカレートしていった。
勿論、雛森自身の手によってではなくて。



『‥こんなところ呼び出すとか…ベタすぎる…』



指定された体育倉庫前に私を呼び出したと思われる人物はいない…そう思っていた。



『うわっ‥いって…は?!』



体をいきなり押されたとか、それが誰だったのかとか、そんな事よりも…問題は今さっき体を突き飛ばされた私がいると思われる体育倉庫の鍵が閉められたという事実。



『やられ、た…』



この体育倉庫は今は使われていない。
設置した場所が悪いという理由から。
設置した場所が悪い…つまり、人が通らない…という事は私がここにいる事は気付かれないというわけで、
完全に相手の策略にハマったというわけだ。



『携帯圏外…はい使えねー…何のための携帯だよ…』



今日一護は先に帰ってる。
だから私がこんな所に閉じ込められているなんて思いもしないだろうし、
何より一護に頼ろうとしてる自分が腹立つ。
そもそもこうなったのは他の誰のせいでもなく自分のせいで、
助けて欲しいとか厚かまし過ぎる。自分で何とかしろよって話だ。



『…馬鹿だなぁ、あたし…』



誰も気付かないと思ってた。


だから思ってもみなかったんだ。



ガンッガンッ!



『な、何っ?!』



!居るか?!」



誰かが助けにくるなんて、




『なん、で?』
「いるんだな?扉ぶっ壊すから下がってろよ」





あの人が私を捜しにくるなんて予想もしていなかった。









(心配は大事に思うからするもの)



20100328.



あきゅろす。
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