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Spica
彼と彼女の関係は?




「宮地君」


「む?…なんだ?」



たまたま一緒になった授業の帰り、青空に声を掛けられた。


「…どうかしたか?」

「いえ、この後一緒にお昼、どうですか?」


いつもとは少し違う青空の雰囲気に若干戸惑いを感じつつ俺はそうだな、と返した。











「そういえば、…有紀はもう別の奴と?」

「今日は翼君のところで騒ぐって言っていたので」


青空は手元にあるお茶に口をつけてそういった。




「単刀直入に聞きます」


食べていたものも残りわずかになり始めた頃、青空はそう言った。

青空を見ると、いつもの笑みはなく、真剣な表情をしている。

…俺、なにかしたか?


「あ、ああ」

「…彩とは知り合いですか?」

「ゴホッ」


「大丈夫ですか?宮地君」

いきなりの質問に驚き、思わず咳き込む。

いつの間に名前で呼び合えるまでに仲良くなったのか。


「あ、ああ…っ大丈夫、だ」


「すいません。…知り合いなんですよね」

「…どうしてだ?」

未だ治まらない咳をしながら、質問に質問を返す。


「いえ、最近の宮地君はよく彩を見てるな、と」

青空はにっこりといつもの笑みを浮かべる。


「…知り合いだが、それが、どうかしたか?」


「いえ、ただ知りたかっただけですから」


青空はもう少し月子さんも構ってあげないとかわいそうですよ、と言って席を立った。


「なにがしたかったんだ…?」

残された俺は一人首を傾げた。











「あ、颯斗、どうしたの?」

「そらそらーっ」


宮地君と食事を終え(彼はまだ食べていましたが)教室に戻ってくると、廊下で彩と翼君が遊んでいた。

…姉弟のじゃれあいにしか見えないのは僕だけじゃないですよね。


「遅かったね」

彼女が転入してきてから2週間経ち、彼女も大分慣れたのかよくこうしてクラスメイトや翼君と遊んでいる。


「はい、宮地君と食べてきたので」

「…そうなんだ」

彼女はふふっと笑う。

なんだか彼女を見ていると、僕自身を見ているような錯覚に陥る。


「そういえば、夜久さん探してたよ。書類がどうとか」

「そうだっけ」

ぬははっと笑う翼君を見て、僕はいつも通りだな、と感じる。


そして、きっと彼女は気付いてない。

月子さんは書類と託けて貴女に会いに来ているということを。

彼氏を放っておいてまで会いたいらしいですね。

きっと宮地君が彼女と知り合いだなんていったら大変なことになるでしょうね。

「颯斗?」

「はい?…ああ、翼君またお菓子ばかり…」

「ぬーっこれは彩がくれたんだ!」

「…言ったでしょう、あまり翼君を餌付けしないようにと」

「あははっごめんなさーい」

駄目だ。きっとわかってない。

でも、僕はこのやりとりに安心を感じる。





「…でしょう、か」

「?どうかしたの?」

「いえ、気にしないでください」







知り合いなのだとしたら宮地君は気付いているんでしょうか。









彼女の腕にある傷のことを。












彼と彼女の関係は?

(それにしても、二人が話しているのを見かけませんね)
(彩ちゃーん…は…や、)
(あ、今明らかに残念そうな顔しましたね、月子さん)
(あー帰ってきたよ)

10/04/01



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あきゅろす。
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