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Spica
心配です



今でも私は覚えてる。



貴方が私のために泣いてくれたことを。



一方的に約束を破ったのを。




貴方は、私が貴方の目の前に現れたらどうするのかしら?



わからない?無視?驚く?怒る?



いや、そんなのはどうでもいい。


私は、学校へ近づくたびに大きくなる鼓動を抑えつつ、彼に会うことを楽しみにしている。
















車から降りて、私は大きく書かれた文字を見つめる。


星月学園


星のエキスパートを育てる学校らしい。

元々向こうで天文学を選択していたから、似たような学校を探していたらここに辿り着いた。


元々私はこの近くに住んでいた。

つい最近、叔父の転勤でまたこっちに戻ってくることになり、私たちもついていくことにしたのだ。

約5年ぶりにきた懐かしい町は変わらず賑やかだった。


この、星月学園に来たのにはいくつか理由がある。


一番の理由は、幼馴染である彼がこの学園にいると聞いたから。

多分、彼は私に気付かないと思う。

名前だって変わっているし、外見だって変わった。なにより、彼とは学科が違う。

(小母さんが言ってた。アイツは星座科だって)

だけど、校内ですれ違えるのなら、なんて淡い期待を持ちながらこの学校を選んだのだ。

後は、校内の設備もちゃんとしているし、なんと言っても寮。

弟たちの小言から開放されるんだもの!!

バイトだってしなくていいしね。


そんななか、ひとつだけ言うとしたら天文科は空きがないらしく、神話科になったこと。

神話も興味あったからいいんだけどね。



「大丈夫か、忘れ物は?ああ、後は直獅に聞けばわかるから…」

「大丈夫よ叔父さん。また電話するから」

「…戻ってきてもいいからな」


車から顔をのぞかせる叔父さんは不安げに顔を歪ませている。

そんな叔父さんに笑って返し、校内へと向かう。


ああ、部活の時間なのかしら。

ちらほらといる男子生徒からの視線がいやだ。


だから転校って嫌い。


でも、そんなことを言ったからといって現状が変わるわけでもないので、私は足を進める。



「…直兄さんは職員室よね」



大きく聳え立つ学校を前にひと息つき、遠い親戚がいる職員室を目指す。




今日から、ここで新しい生活が始まるんだ。










「来たか!お前遅いって…」

「はいはい、挨拶でしょ?」


子供っぽく笑う彼を後ろに理事長室とかかれる札を探す。


「ああ、そっちじゃないんだ」

「え?じゃあ…もっと奥?」



「いや、俺についてくれば大丈夫だって」


お兄さん、私貴方についていって大丈夫だった記憶はありませんが。


そういう前に彼は早足で今日はどっちかなーとか言いながら私の前を歩く。




あの、お兄さん。














なんだかとっても心配です


(そう言ってつれてこられたのは全く違う部屋だった)
(…ねえ、直ちゃんふざけてるの?)
(ふざけてない!…え、ま、待て、入れ)
(…失礼しまーす)



10/04/01



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あきゅろす。
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