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Spica
気付いたのは




「宮地君が?」


一瞬、耳を塞ぎたくなった。


「まあ、わからなくないんだけどね」


「どうして…?」


そう聞けば、錫也はああ、とでも言うかのように苦笑いを浮かべると、



「彩は宮地の幼馴染で…」

「初恋の人、らしいね」


錫也の後ろからひょっこりと顔を出した羊君はそういって、また哉太をいじりに行った。



彩ちゃんが、


宮地君の幼馴染で、






初恋の人…?











そういえば、この前も彩ちゃんが倒れたって陽日先生が呼びに来たときも走っていったっけ。


それに、最近の宮地君はふとした瞬間に周りをキョロキョロしている。


もしかしてそれって、


彩ちゃんを探してたの?




私は携帯の通話ボタンに指を伸ばす。


「…もしもし、宮地君?」

「ああ、夜久か。どうかしたか?」

「あのね…」


電話越しに、ドアが開く音がした。


「龍之介…あ、ごめん」

「彩…、あ、ああ、悪い、それで、どうかしたか…?」


そっか、そうなんだ。

そうだよね、錫也がいってたもん、幼馴染だって。


「あのね、宮地君、今から会いたいの」

電話越しに、歯切れの悪そうな声が聞こえる。


「今、か?……それって、今じゃないと駄目か?」


「え…?あ…、でも駄目ならいいよ!明日でも話せるし」


どうしてだろう


「それじゃあ…悪い。明日、な」


そう言われ、数秒後には無機質な音が私の耳に入ってきた。



ディスプレイがぼやけてよく見えないや。






さっきの彩ちゃんの声が耳から離れない。


宮地君の言葉も、全部が。





ねぇ、宮地君





こんなに私は宮地君が好きなのに、





それって私だけなの?









宮地君は私じゃなくて、彩ちゃんが好きなの…?









だったら、お願い、













私から宮地君を取っていかないで…















気付いたのは、あなたが想ってるのは私じゃないってこと

(どうしてだろう、我侭が言えないのは)
(どうして、こんなに胸が痛いの?)

(宮地君が言ってた幼馴染って、あなたのことだよね…?)


10/05/06

ラブ混入中(
つっこがよく分からない件



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あきゅろす。
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