[携帯モード] [URL送信]

Spica
開けたドアの先に



あれから数時間後、私は迎えに来た直兄さんに担がれ自分の部屋まで戻ってきたらしい。


あれから一日たった今も、頭の中で言葉がリピートされ続けてる。




「頭が…」


だんだんと大きさを増していくそれに私はまた頭を抱え込む。

そういえば、まだみんなは授業中か。


チラッと横目で見た時計はまだ午前11時を指している。


もう一度布団を被り直し、目を瞑る。


颯斗は一人じゃないと言ってくれた。

でも、私はきっとひとりぼっち。

それは、一生変わらないことかも知れない。

例え、一緒にいる人ができても最後は「お前は一人で平気だろ」と言って、離れてく。


誰も、私の心の奥までは入ってきてはくれない。

ただ、一緒にいてくれる、それだけでいいのに。




「…誰か、先生居ないかな…」


布団を捲り上げ近くにあったタオルで顔を覆う。


すごく、変な汗をかいてる、私。










怖くて、寂しくて、一人ではどうしようも出来ない孤独感と頭に響く言葉。


一人でいたら、また、やっちゃうのかな…。


震える手に力を込めながら携帯に手を伸ばす。



龍之介は、頼れない。

その前に、颯斗も直兄さんも錫也達も授業中だ。

メールを入れたって電話を掛けたって、繋がったりする訳ない。


また、頭の中で大きくなるそれと回らなくなる私の頭と体。



「怖い、よ…」


朝から降っている激しい雨の音を塞ぐ。




―――…さんって、災害孤児なんだって


  それ言っちゃかわいそうじゃーん…―――



―――…一人で平気なんだろ?俺はもっと俺のことを頼ってくれるやつと…






「…、やっぱりメール、入れておこう」


もしかしたら、誰か昼休みに来てくれるかもしれないし。



私は微かな期待を抱きながらもう一度携帯を開く。





「…あれ?」


コンコン、という音を耳にし、後ろを振り返ってみる。



「…どちら様で?」






この後、私は確認せずにドアを開けたことを若干後悔することになる。














考えなしに開けたドアの先にいたのは一番頼ってはいけない彼でした

(おい!俺もいる)
(あれ…直兄さん…隠れて見えなかった)

(二人の姿をみた途端、なんだか急に泣きたくなった)



10/05/01

なんだか不発…



*#
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!