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Spica
だけど本当は



「宮地君、どうでしたか?」



戻ってきて掛けられた第一声はこの声だった。




「は?…ああ、いや…」



とてもじゃないが、あんなことは言えない。みっともなさ過ぎる。



「それにしても珍しいですよね」


「なにがだ?」


「宮地君は他人のことでこんなに感情的に行動するなんて」


こんな事もあるんですね、と目の前の青空は呟く。


確かに、こんなに自制せず、感情的になったのは久しぶりかもしれない。

多分、夜久や部活のことでもここまでなったことはない。


「そんなに好きですか?」


「え?」


ふわふわした意識を引き戻すと少し先にいた青空は俺のすぐ目の前に居た。

俺は思わず青空の言葉に動揺する。

本来なら動揺すべき所ではないはずだ。

だが、どうしてこんなに俺は今、動揺しているんだ?



「誰を?」

「宮地君が彩のことをですよ」


青空はいつものように笑ったが、俺は今まで感じたことの無い何かを感じた。


そうだ、それはずっと前からわかってた。

アイツに会ったときから、俺の胸の奥にあった何かがまた色付き始めている。


「そ、んな訳ないだろう?」

「そうですか?僕にはそういう風に見えるのですが」


青空は相変わらず笑みを崩さないが、いつもより言葉がすぐに返される。

これは、きっと青空が何か思っているからかもしれない。



「そうですか」

「あ、ああ」







「なんて言うとでも思いましたか?」


次の瞬間から、俺は自分の身に何が起こったのかよくわからなかった。

青空は浮かべていた笑みから見たことの無い表情になり、俺の胸倉を掴み、俺は壁に叩きつけられた。



「青空…?」

「月子さんも宮地君もいつまでもウジウジするのはやめたらどうですか?」


ウジウジ…?俺がいつそんなことをした?


「いい加減はっきりしたらどうなんですか」


「…何のつもりだ」

胸倉を掴んでいた青空の手を払い除け少し乱れた呼吸を整える。


「宮地君は、彩の何のつもりですか?」

「俺は…」


青空の言葉に、俺は言葉を喉に詰まらせる。


俺は、アイツの幼馴染だ。


それ以外の何者でもない。



…俺は、










「…これでは、二人とも傷つけるだけだと思いますよ。それじゃあ僕は生徒会があるので…」


青空は深いため息を吐くとそう言って階段の方へと足を運んでいった。











「…傷つける?」




ただ俺は、アイツを心配して、

…当たり前のことをしているだけだろう?















だけど本当は気付いている

(俺はアイツを好きだってこと)
(でもハッキリと言えないのは弱い俺がいるから)
(そして、夜久を好きでもあるから)


10/04/22

ラブコメー…っぽい(



*#
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