ひとりとひとり(ONE PIECE:ベッジ) ベッジは下品な人間が嫌い。 だから目障りだと感じたら「殺せ」って命令する。 ギャング海賊なだけあって、まあらしいって言ったららしい。 そんな清々しいまでのベッジが好きになってあたしは船に乗ったんだ。 だけど。 「何も大喰らいを標的にしないでも…」 ベッジに殺されかけた仲間を助けて、ベッジを宥めたあたしは苦笑いでベッジに近付く。 仲間から「頭目(ファーザー)」と呼ばれているベッジの力は本物だ。 一億越えと呼ばれるルーキーに見事に入り、あたしの誇る船長。 あたしは盲目的なまでにベッジが好きだ。 「うるさいぞ」 「ごめんなさい」 恋人であるにも関わらず、ギロリとした目を向けてくるベッジ。 あたしは怯えるふりをして肩を竦めた。 ひいっ、とまだ怯えてる仲間を逃がしてやってからベッジの隣に座る。 「海軍本部があるんだから騒ぎは起こさないでよ?」 「……あいつ一人殺したところでどうにかなるわけもない」 「ルーキーが本気で戦闘しちゃったら流石にどうにかなるわよ」 にこりとルージュをひいた唇で笑えば、ベッジは黙る。 「まさかお前に気を静められるとはな」と笑うベッジに「あら?それどういう意味かしら」と軽口を叩く。 恋人の会話に見えるくせに、冷気飛び交う目線に部下達が後ずさるのが見えて溜息をついた。 そんなに怖いのかしら? 「ねえ、ベッジ」 「何だ?」 「愛してるわ」 ベッジの好む、「綺麗で上品な女」の笑みを貼り付けて、あたしは微笑む。 そしたらベッジも微笑んで、あたしの髪の毛に手を伸ばした。 食事マナーとか気にするくせに、ベッジはやっぱりベッジだ。 にやり。悪みたいに笑うベッジに私も笑う。 「俺も愛してるさ」 「あたしに宝石買ってくれる?キラキラのブルーダイヤ」 「……悪い女め」 だって、そんな女が貴方は好きなんでしょ? ≫ひとりとひとり (決して「ふたり」にはならない恋愛) 「貴様“ギャング”ベッジだな!!?部下はどうした!お、女だけ連れて…!!観念しろ!!」 「海へは出さんぞ!!女ごと捕まえてやる!!」 「あーあ…麦藁のボウヤが散々してくれたせいで、とんだ巻き添えね。あたし、やろうかしら?」 「いや、面倒だからお前は下がっておけ。…第一、お前達の負けだ。兵力差でな」 手配書でみたことのある馬鹿みたいな笑顔を浮かべてるボウヤを思い浮かべたあたしは詰まらなそうにベッジの肩に腕をまわし、ベッジの腕に手を絡ませた。 END 企画サイト様「何よりもまず、」提出。 素敵なお題をかなり汚しちゃった感があり申し訳ない…; 人気なキッドとかローとかの夢はかなりあったので、ルーキーの中で一番人気がない(と思える)ベッジ夢です。 キッドやローも好きなんですけど、人気キャラよりも人気のないキャラの方に愛おしさが出る性格なので…汗。 2009,04,03 「戻」 |