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嘘と涙(ONE PIECE:ルフィ)







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まず言いたいことがあるとするならば、「ごめんなさい」としか言えません。それを沢山沢山積み重ねることしか私には出来ません。
ゆっくりゆっくりと時間が流れて、今日はあなた達と別れた日から二日目です。
一日目は凄く泣きました。泣くことしか私には出来なかった。
きっと皆が一番泣いたりしてたんだろうと思うけど私にも泣くことしか出来なかったんだ。
驚いた顔の皆と怒り狂ったルフィ。ルフィにそんな顔ができたなんて私は全然知らなかった。そのくらい怖い顔をしてたよ、ルフィ。
でもね、あの言葉はすごく考えたんだ。
考えて考えて、ルフィを怒らせる言葉として使ったんだ。
幾多の言葉を考えたんだけどルフィにはやっぱり効果覿面だったみたいだね。良かった。でも、悲しい。


『ルフィはいいよね、真っ直ぐで。なにも悩みなんてないんだろうね…!私、エースやルフィが羨ましかった。だからルフィとエースなんて死ねばいいと思ってた!!』


あの言葉は半分以上本心です。
小さい頃からバカで真っ直ぐで、でもそんなルフィの周りには沢山の人が集まってた。
私とは大違い。私はルフィに魅せられる立場だったから。
エースだってそう。飄々としてるし常識あるくせに、どこか抜けてて周りに好かれてた。
そんな二人が私は大好きで、やっぱり羨ましかったんだ。

そのことに気付いたのは、ずっと前なんだけど最近になってやっぱり思い出してきたのも事実なんだ。

唯一、嘘だといえるのは死ねばいいと私が言ったところ。
違うんだ、ルフィ。死ねばいいなんて思ってなかった。でも言葉のあやでもないんだ。
あれは本心じゃなくて嘘なんだ。ルフィを怒らせて私を船から降ろすための。
だってルフィが優しくて強くて真っ直ぐなのは子供の頃からよく知ってるから。
だから本当を言えば誰が何を言ってもルフィが止まらなくなると思ったんだよ。

ごめんね、ルフィ。もう戻れない。

実はというと、私は今から戦おうとしているんです。私がずっと逃げていた、敵と。
とても強く、ルフィでも倒せそうにない相手です。
暗殺を生業とする敵は、殺したい相手の名前を呟くだけで人を殺すことが可能だから。だからルフィを遠ざけたかったんだ。ルフィを殺させたくなかったから。










でもねルフィ、いつかこれをみたら、あの言葉を撤回させてください。
ルフィやエースに私は死ねなんて思ってない。思ってないから、だからどうか私を要らないというように塞ぎこむのはやめて。

きっとこれを読んだらナミとかロビンとか絶対怒るよね。
アーロンの時や世界政府を相手にした時、散々私達に怒ってたじゃないかって怒ると思う。
でもごめん。あれは相手が人間だったからなんだ。
私の敵は人間じゃない。人間の血なんて一滴も入ってないんです。
アーロンやCP9は傷つければ血が流れた。でもあいつは違う。
あいつに切りかかったことが一度あったんだけど……


人間じゃないやつを相手にすることはできない。


だったら何で死ぬと分かってる戦いをするんだ。とウソップとチョッパーは言うかな?
うん、私もそう思ってた。だけどね、多分ゾロやサンジ、フランキーあたりは分かると思う。
ルフィがね、真っ直ぐだったからなんだ。

ルフィもエースも真っ直ぐで、死ぬと分かっている戦いでも必ず心を折らずに立ち向かうと思う。そして笑って死ぬんだと思う。だからなんだ。
私は臆病で二人とは似てないし、二人のようになれない。
だけど正真正銘二人の妹なんだ。そう思ったら逃げたくないって思った。
似てない私でも戦わずに逃げるなんて二人の恥を晒すような真似はしたくない。
火拳と未来の海賊王の妹に恥じないように、逃げるんじゃなくて戦いたいと思った。

って理由を説明してもまだ怒るんだろうなァ。
怒るのは……ブルックかな?
一人で戦うなんて、と言うかな?
うん、そうだよね。ブルックは孤独ってのを知ってるもんね。

でもね、これは私の戦いなの。
ルフィに助けを求めたら、それこそルフィたちの恥なんだ……と言いたいんだけど実は違うんです。
私は臆病だから仲間が死ぬと分かってる戦いに出向くのを見るのは怖くて仕方ないんだ。

相手が人間であれば希望は見える。
だけど、そうでなかったら希望なんてものは無くなるんだ。



明日、私は戦いに出ます。
あいつを殺さなきゃ、誰もが悲しむこととなる。
だから私は戦いに。



ねえルフィ。
まだ怒ってる?
この手紙を読んでも、怒るってことは分かる。
だけどね、ルフィ。
仕方ないんだよ。







だから死なないで。
夢と仲間と自分の為に戦って死んで。
妹の為なんてバカな理由で死なないで。



ごめんね、ルフィ。さようなら。



あなたの妹であるモンキー・D・―――








ファーストネームの書かれていない手紙が地面に転がっているのを一人の旅人が拾い上げた。
手紙の端(はし)には、赤い赤い血がついていた。

手紙を読んだ旅人は『哀れな人』と手紙に題をつける。


『彼女』は、ファーストネームを書き終える前に『敵』に殺されたのだろう。
旅人はそう思い、手紙を再び地面へと捨てた。





END



ルフィを愛してる妹は敵に殺されて死にました。(台無し)
BAD ENDで申し訳ない…!救済すべき方法を考えないと、ですね…!
企画に参加させてくださり有難うございました!





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