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スクランブル・マンション02

平日、一番の早起きは佐助である。
自分の分とよく動くかわりよく食べる幸村の弁当を作るためだ。
そこまで料理にこだわりがないことや、取りあえず幸村の胃袋を満たすために弁当箱の7割強は白米だ。
残りの隙間は今から作るおかずで埋めるのだが、2、3品あればよいのでそこまで早起きする必要はない。
弁当箱によそった(幸村のは詰め込んだともいう)ご飯を冷ましている間、卵焼きに取りかかる。
何となく今日は副菜が思いつかず、冷凍食品に頼ることにした。
詰め終えた弁当を広間の机に置き、自分用のコーヒーと幸村の牛乳を注いだマグを持って部屋を出た所で佐助はエレベーター前の二人に気づいた。

小十郎と政宗である。
小十郎に腰を抱かれながら、帰りは何時だとか幸せそうに話している声が所々佐助の耳に聞こえた。
人見知りで、小十郎以外の他人に猫みたいに警戒心剥き出しだった政宗だが、今となればその光景も見慣れたものだった。
行ってらっしゃい、と政宗がつま先立って小十郎にキスをしたのを無関心を装いながらも横目で見てしまう。
赤面こそしないがどこかむずかゆい気持ちになって、佐助は焼いたトーストを取りに部屋に帰る。
二枚の皿を持ってきたところでエレベーターから引き返してきた政宗と目があった。

「おはよう」
「……おはよ」

政宗は眠たそうだがどうやら機嫌がいいらしく、部屋には帰らず机の端の椅子を引いて座った。

「弁当?」
「そ、俺様と旦那の」
「ご飯……すごいな」
「うちの旦那ほんっとよく食べるからねー。大変。伊達ちゃんは?」

まじまじと弁当箱を覗き込んでいる政宗に訊ねると、ん?と少し高い声が返ってくる。

「お弁当。手作りでしょ?」

政宗が小十郎に毎日弁当を持たせているのを佐助は知っていた。

「うん。でも殆ど前の日の晩ごはんと一緒に作ってるから……大変じゃない」
「幸せ者だねぇ片倉の旦那」
「そう、か……?」
俯いてしまった政宗を佐助がかわいいねえ、と思っていたところで幸村が身支度を終えて出てきた。

「っ……帰る」

朱に染まった頬を隠そうと小走りで部屋へ向かった政宗を佐助は呼び止めた。

「今度教えてよ、料理」

ぱちぱちと瞬いた後オーケィ、と返した政宗に今度は幸村がおはようございますと挨拶する。

おはよう、と言って政宗は静かに扉を閉めた。




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あきゅろす。
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