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駄文
黒猫のWonderful Days(スマユリ←テッド)


 ズルイ、と、思った。




「ゆ・ぅ・り〜ッvV」

「ん?」




 いつもいつも、アイツばかりがあの人にべったり。


 自分は届かないのに。
 自分は触れられないのに。

 アイツはいとも容易く、あの人に触れられる。

 あの人を抱き締められる。
 あの人と、同じ目線で歩ける。



 それが悔しくて、憎くて、

 羨ましくて。




 だから、








「…………は?」








 お願いした。












『黒猫のWonderful Days』












 いつものようにあの人に抱き着いていたアイツは、突然押し退けられたことよりも、
 今目の前で起こったことを理解するので精一杯という顔をしていて。

 オレはそれをチャンスとし、あの人……ユーリにしがみついた。




「ご主人様に気安く触ンなよこの変態透明人間」

「なっ、……ぉま…………はぁあぁぁ?!」




 スマイルは、未だに目を見開いてオレのことを見てる。
(指差すなよ)

 そんなアイツを放置していれば、ふと、ユーリが苦笑を漏らした。




「スマ、この子はテッドだよ」

「て………へ…?」

「黒猫の、テッド」




 ユーリがオレの頭を優しく撫でるから、それが気持ち良くて、オレは嬉しくてつい喉を鳴らして彼の頬に擦り寄った。
 そうしたら、そこで漸く我に返ったらしいスマイルが、急にオレの肩を掴んできた。




「ちょ、ナニ勝手にぼくのユーリに甘えてんだヨ!」

「ちっ。離せよこの変態ッ」




 無理矢理引き剥がそうとするから、得意の猫パンチ(引っ掻き含む)を顔面にお見舞いしてやれば、奴は悲鳴を上げながらその場に蹲った。
 それを見下ろし、オレは満足げにユーリにもう一度擦り寄る。



 うん。幸せ。

 ユーリに触れられる。

 ユーリの体を抱き締められるって、こんなに幸せなことだったんだ。



 あんまりにも甘えたままでいたら、オレの髪が擽ったかったのか、ユーリが小さく吹き出していた。
 そんな姿も可愛くて、嬉しくて、余計に離れられなくなってしまった。


 だのに。




「だからぁ!ユーリに馴れ馴れしく触らないでってばぁ!」




 またもやオレを引き剥がそうとしてくるスマイル。
 ちょ……しつこいっつの。

 だが、もう一度食らわしてやろうと思った右手は、寸での所で避けられてしまった。

 腹立つ。




「2人共……少しは落ち着かないか」

「「ムリ!!!!」」




 尻尾を逆立て、気に喰わないアイツと取っ組み合いをしていたら、ユーリが呆れたように溜息を漏らす。

 それでも暴れていると、脳天に痛いご褒美。




「いっ……たー…!!」

「ぅが…ッ!ちょ、ヒドイよユーリ!!なんかぼくの方が本気で殴ってなかった?!」

「五月蝿い」




 本当に機嫌を悪くしたユーリが、床に座り込んでしまったオレ達を冷たい眼差しで見下ろす。


 ぅ……ご主人様、人型を取った途端になんだか冷たい…!


 オレは慌てて猫の姿に戻って彼の腕の中に飛び込んだ。
 そうすれば思った通り、ユーリは優しくオレを受け止めてくれた。




(きっと、人間の姿だと容赦ないんだな)




「ねぇ、ユーリ……ソイツって普通の猫、だよねぇ?なんで人型になれるのサ?」




 優しく撫でて貰いながら、ユーリの頬を舐めていると、スマイルがオレの尻尾を軽く引っ張る。
 手袋に覆われているその手を思い切り引っ掻いてやれば、またアイツの五月蝿い悲鳴が短く上がった。




「ん?あぁ…テッドが人の姿になってみたいと言うから、少し力を与えてやったんだ」

「ぇぇ〜……」




 そう、オレは元は普通のそこら辺にいるような猫だった。
 だけど、ヴァンパイアである彼にお願いをして、自分の意志で人型を取れるようにしてもらったんだ。



 だって。

 ズルイと思ったから。



 スマイルはいつだってユーリの傍にいて、
 彼に触れられて、
 彼を抱き締められて、
 彼と同じ目線で歩くことができる。

 それが、ズルくて。
 それと同時に、羨ましいと思ったから。


 だから、ユーリにお願いをしたんだ。


 オレも、彼に触れられるように。
 彼を抱き締められるように。

 彼と同じ目線で歩けるように。




「ぁ。私はテッドの餌を持ってくるから、スマイル」

「は?」

「頼んだぞ」




 なんて、可愛く笑ってユーリがオレの体をスマイルの腕の中へ託す。

 オレ達は、ただ呆然と彼の後ろ姿がドアの向こうに消えていくのを暫く見詰めていて。




「――ぅわ」




 だけどやっぱりそこは気に入らなくて、奴の腕から飛び出す。
 それと同時に、人の姿になって。




「ユーリは、お前のじゃないから」




 ピクリ、と、
 アイツの笑顔が歪む。

 そんなことはお構いなしに、オレは奴の顔を指差して。




「ご主人様はオレ様のだから。ぜってー手ぇ出すなよバーカ」




 そうして再び喧嘩を始めたオレ達が、またユーリから拳骨を貰ったのは、言うまでもない。





+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+





出しちゃった。テッドの擬人化www
どんな姿なのかは、雑絵の前にある☆にてww
遡るといると思いますwww

因みに、猫だからツンデレ。オレ様です。
ユーリの前以外ではww
(動かしてて、やっぱ金ユリと被るから少し性格変えようかな…)

テッドはユーリには素直に甘えに行ってたらいい。


でも、ユーリは人の姿をしてるとちょっと容赦ないとイイ。
動物相手にはきっとデレデレです((笑笑!



身長差がまだ決まってないんですが、たぶん、ユーリと同じくらいか、ユーリよりちょっと大きいくらいかな?



また性懲りもなく出したらすみませーん!




10,05,25




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