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駄文
Welcome to the Wonderland 4 (アリスパロ)


「はぁ……酷い目に遭った…」




 あれから結局、どれくらいのキノコを食べただろうか。
 食べ過ぎてお腹が痛い。

 当分は、キノコ料理は遠慮したいな…。

 そう思いながら、少しふらつく足取りで私は森の中を未だ進んでいた。




『彼、神出鬼没だから。フラフラしてたらそのうち会えるんじゃないかな』




 なんて、あの芋虫が適当なことを言っていたから歩き続けているわけだけれど、これはもう迷子と言っても過言ではないかもしれない。
 どれくらい歩いたのか判らないし、何処まで行っても森ばかりでキリがない。

 泣きたくなってきた…。

 おまけに、食べ過ぎでお腹が痛くて気持ち悪い。
 もう泣きたい。


 でも、私にはあの変態兎を殴らなければならないという使命がある。
 こんな所で泣いている暇などないんだ。
 いや、泣くものか…!



 なんとか多少なりとも元気が出てきて、私は顔を上げることができた。




「そういえば、近くに公爵夫人とやらの家があるから、彼女に何か訊いてみるといい…とか言っていたな」




 真っ直ぐ進んでいればいずれ見つかる。
 と言っていたが、




「森の中なんて、何処をどう進んだら真っ直ぐなのか判るわけがない…」




 やはり、迷子だった。


 私は溜息を吐き、とにかくフラフラと歩いていく。
 けれどその時、私は人影に気付くことができず、それを素通りしてしまった。

 それでも何かがいたような気がして、ふと、ゆっくりと後ろを振り返れば。




「…………」




 そこにいたのは、同じ服装で同じ年頃の少年が2人。
 仲良く手を繋ぎながら笑顔を浮かべている、碧い髪の少年と銀の髪の少年。

 2人は一緒の方向(私の方ではなく、2人の正面)を見詰めたままピクリとも動かなかった。




「……人形?」




 あまりにも動く気配がなく、喋る気配もなかったので、2人の元まで引き返して呟く。

 そうすれば、碧の子の帽子には『メル』、銀の子の帽子には『ジル』と書いてあることに気付いた。


 これは2人の名前だろうか…なんて考え、首を傾げながら2人を眺めていたら。




「お人形だとおもったでしょ」




 と、碧の子。

 続いて、




「おもったでしょ」




 と、銀の子。


 私は思わず2人から離れてしまった。

 それでも構わず、可愛い笑顔を浮かべたままの小さな2人が口を開いた。




「でも、お人形だとおもったら、お人形とあそばなくちゃダメなんだよ?お人形は、あそんでもらいたいんだから」




 碧の子に続き、銀の子が口を開く。

 それは何処か、遊びのよう。




「でも、人だとおもったら声をかけなきゃダメなんだよ?人にあったらまずはごあいさつなんだから」




 そこで漸く2人は私をじっと見詰めた。

 きっと、前者か後者かの答えを待っているのだろう。




「す、済まない。始めまして、私はユーリだ」




 私が慌てて答えれば、2人はニッコリと可愛く笑った。

 ここに来て、初めてまともな人物に出逢えた気がする。
 嬉しくて笑みを漏らしていたら、碧の子が自身を指差した。




「ぼくはメル。ふたごのおにーさんだよ」

「ぼくはジル。ふたごのおにーさんのおとうとだよ」




 銀の子は、兄の口真似をするように言いながら自分を指差した。
 そして2人は私に片方ずつの手を差し出してきた。

 きっと、握手だ。

 私はどちらから握手をしたらいいのか判らず、結局2人の手をそれぞれ同時に握った。
 そうすれば自然と円を作るような形になり、途端に2人がクルクルと回り出した。
 私もつられ、一緒になって回り出す。




「ユーリはどこからきたの?」

「ユーリはこれからどこにいくの?」




 くるくる回りながら、2人の質問が始まる。

 けれど、私が答えるよりも先に2人はどんどん違う質問をしてしまう。
 やはり双子、息がピッタリだ。




「ユーリはおんなのこ?」

「ユーリはおとこのこ?」

「ユーリはどうしてここにいるの?」

「ユーリはどうしてここへきたの?」

「ユーリはこれからなにをするの?」

「ユーリはこれからなにをしたいの?」




 だんだん、回りすぎて気持ち悪くなってきてしまった。
 キノコが喉元まで…。

 しかも質問の言い回しが全てややこしく、ついでに答える暇もないから頭までグルグルと回ってきてしまう。




「これ、から…こーしゃく、ふじんの、ところ…に…」

「こーしゃくふじん!」

「こーしゃくふじん!」




 まだ言い終えていないのに、2人は「こーしゃくふじん!」と繰り返し、人の話なんて聴いちゃいない。

 人の話は黙って聴きなさいと文句を言ってやりたかったが、生憎、そんな余裕なんてこれっぽっちもない。
 食べ過ぎたキノコをリバースさせてしまいそうで死にそうだ。


 気付けば、いつの間にか私は1人蹲り、あの双子は楽しそうにキャッキャと笑いながら何処かへ駆けていって。




「またあそぼうね、ユーリ!」

「またあそんでね、ユーリ!」




 帰ろーと言った双子は仲良く手を繋いだまま森の中へと消えていってしまった。

 そうして私だけが森の中で呆然とし、2人が落としていったであろう封筒を見つけ。




「…『Dear 公爵夫人』…」




 あれ?あの2人、公爵夫人に用があったんじゃ…。


 未だぐるぐるしながらその封筒を裏返せば、そこには『From ハートの女王』と書かれていた。




「……頼まれ事はきちんと最後まで責任を持ちましょう…」




 何故だか、親のような気持ちになってしまった。






To Be Continued...





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鏡も混ざってきます((笑笑!
だって、不思議の国だけだとキャラが微妙に足りないww



双子だから双子のメルジルを出してみたんですが、すっごいグダったwworz
原作に添いすぎたし…(;´д`)

もっと双子をユーリに絡ませたかったんですが、うまいこと思い付かなかったですorzorz


次回も頑張ります…!




10,03,17




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