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駄文
Welcome to the Wonderland 3 (アリスパロ)


 辺りを見回してみても、木、木、木。
 緑ばかり。

 当たり前だ。

 ここは見た感じ、森らしいのだから。



 私は暫くは惚けたように辺りを眺め、けれど破壊してしまった壁のことを思い出して、ぽっかりと穴が開いてしまっているだろう背後の壁を振り返る。
 けれどそこには何もなくて、鬱蒼と繁った蒼い森が拡がっているばかり。

 私は森の中、確かに壊してしまった壁の上に、ぽつんと座っていた。




「……私はいったい何処から来たのだろう…」




 あの変態兎に突き落とされ変な部屋に落ち、その部屋の壁を破壊してここへ辿り着いたはずなのだけれど…。


 辺りをもう一度見渡しても、あの部屋があった形跡なんてなくて、
 代わりに森が拡がり、私の好きな薔薇が咲いていたり、私を誘うように蝶や鳥がそこかしこを飛び回っていたりしていた。

 暫くは状況を理解しようと試みたのだが。




「――まぁ、いいか」




 全てがどうでもよくなった。
(…正直に言えば、考えるのが面倒になっただけ)



 とにかく。

 私はあの変態兎を殴らなければならないという使命があるんだ。
 思い出しただけでも腹が立つ。

 あの憎たらしいほどに厭らしい声と笑み。
 夢に出てきそうだ。



 私は気分を紛らわすように、スカートに付いてしまった汚れを払いながら立ち上がり、とりあえず森を進んでみた。




「…それにしても、ここは地下じゃないのか?」




 確かに穴を落ちてきたはずなのに、辺りは深い森で。
 背の高い木々が少し邪魔でよくは見えないけれど、頭上には微かに青い空と太陽が伺える。



 本当に、可笑しなこと続きだ。



 そんなことを考え、頭上を仰ぎながら歩いていたら、




ぼすんっ

「ぅあっ?」




 突然、何かに当たった。

 固くはなかったから木ではないと思うが、柔らかくもなかった。
 そんな微妙な感触の物体を確認する為、視線を逸らせば。






「――大丈夫だった?」






 目の前には巨大なキノコが生えていて、その傘の上には芋虫の着ぐるみを被った白髪の男性。
 ニッコリと微笑まれ、その穏やかな笑顔につい見惚れてしまう。


 けれど、私は慌てて頭を振り、彼を睨んだ。




「……何かのイベントマスコットですか?」

「いやいやいや、違うから」

「…なら、趣味?」

「趣味って……オレはれっきとした芋虫なの」




 パイプ管を咥えながら苦笑する彼はどうやら怪しい人物ではなさそうだ。
 というより、うさ耳を生やしたアイツ以上に怪しい奴なんていないよな…。

 あの笑みを思い出したらまた腹が立ってしまった。
 それを、彼は不思議そうに見詰める。




「あぁ、そうだ。ここを変な兎が通らなかったか?」

「兎?」

「顔も髪も青くて、執事みたいな格好をした変態だ」

「へ、変態かぁ…;;」




 キノコの上で彼は少し考える素振りをする。

 だが、暫くしてから私を見詰めて。




「それってもしかして、彼のことかな?」

「知っているのか?」

「まぁね。ここに住む人なら皆知ってるよ」




 皆知っているって……そんなに有名な変態なのか…。

 少し……というか、大分げんなりしてしまった。




「何処へ行ったらそいつに会える?」

「あぁ…それなら、」




 彼が答えようとした瞬間、私の腹の虫が少し可哀相な声で鳴きだした。


 そういえば、おやつ、食べていなかったから…。



 私は恥ずかしくて彼から視線を逸らすと、彼はくすりと笑って私の頭を撫でた。




「まずは腹拵えだね。
 右のキノコ、左のキノコ、好きな方食べていいよ」




 指差されたのは、私の左右に生えていた黄色いキノコと赤いキノコ。




「大丈夫。毒キノコなんかじゃないから。因みに1アップもしないよ」




 意味がよく解らなかったが、とりあえず赤いキノコを小さくちぎって口に放り込んだ。

 味は意外とイケる。
 どうせなら焼きたいけれど。


 なんて考えていたら段々と視界が可笑しくなってきた。

 いや、そうじゃなくて…これは私の視線が段々高くなってきていて…。




「Σなんで体が大きくなっているのだー?!」




 気付けば私の背丈は、周りの木々と変わらないくらいにまで成長してしまっていた。

 そんな私を芋虫は人のいい笑みで見上げ、「赤いキノコだもん。大きくなるのは当たり前だよー」とかまた訳の解らないことを吐かしている。




「黄色い方は小さくなるんだ。食べる?」




 なんて、ニッコリ笑いやがって…!
 笑顔の奴は皆敵だ…!




 その後、黄色いキノコをほんの少しだけ食べたけど元の大きさは戻れず、
 また赤いキノコを食べたり黄色のキノコ食べたりを何度も繰り返して、漸く元の大きさに戻れた。




「どう?一瞬で背が伸びたり縮んだりする気持ちは」




 今日からはもう身長伸ばしたいだなんて絶対思わない…!!





To Be Continued...





+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+





白犬登場!芋虫でした!

さて、次は誰が出てくるでしょうか☆


ちょこちょこマリ才ネタが入るのは、時々Wiiで遊んでるからです/笑。


というか、素で、白兎の家でアリスが大きくなっちゃう場面を忘れました←
まぁ……長くなるからいいか…←←




10,03,02




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あきゅろす。
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