駄文 Welcome to the Wonderland (スマユリ、パロ) 今日もいつものように、木陰で本を読む母様に寄り添って私は歌を口遊む。 けれど、ぽかぽかと暖かい陽気で瞼が徐々に重たくなってきてしまっていた。 少し、寝てしまおうか…。 そう思い、母様の膝の上で目を瞑ろうとした時。 「―――ヤッバー!」 ふと聞こえた声。 その声を探して顔を上げれば、少し離れた茂みに兎の耳を見つけた。 兎なんて珍しい…。 そう思い、何気なく見詰めていたら。 「遅れちゃうヨ!」 茂みから飛び出したのは、カットシャツの上に燕尾のベストを着て、銀の懐中時計に目を遣る碧い髪の青年。 肌も薄水色の彼は、まるで執事のような装い。 だけれど。 「――うさ耳っ??!」 走り去ろうとする彼の頭には、彼には不似合いの可愛らしい兎の耳が。 しかも、尻尾までちゃんと付いている。 ………いや、なんだか変に似合っていて……。 (…気持ち悪い…) つい眉間に皺を寄せながらその様子を伺っていると、慌てる彼は茂みの奥へと走り去ってしまった。 その後ろ姿を暫く呆然と見詰めていたら、茂みに身を隠そうとした彼がちらっと私を振り返ってきて。 クスッ………と。 嗤 わ れ た … ! 「ぁ、こら……待て貴様!!」 「遅れちゃうヨ遅れちゃうヨ!やばいヨやばいヨー!」 何事もなかったかのように駆け出す背中を、私は慌てて追いかける。 嗤われたんだぞ…! 一発殴ってやらんと気が済まない…!! スキップのように見える去り方が余計に腹が立つそいつを見失わまいと追い掛け、 ふと一瞬、視界を茂みに隠されてしまうと、先程まで目の前を走っていたあの妙な兎(?)の姿はなくなってしまっていた。 その代わり、目の前には木陰にぽっかりと空いた穴。 「…何処へ消えた…?」 辺りを見回してもあの姿は何処にも見えない。 はて、一瞬の間に何処かへ消えてしまったのか。 それとも、この穴に入ったのだろうか。 恐る恐る覗いた暗い穴は、まるで地下の世界へ繋がっているよう。 ……どうしよう。 この穴の先に、さっきの変態兎のような奴らがうじゃうじゃいる世界があったら…。 無意識のうちに浮かんでしまった想像に、なんだか気分が悪くなってしまった、その時。 ――とんっ 「――ぇ…?」 ふわ…と、一瞬だけ体が浮いて、何が起こったのかも理解できないまま、気付けば私は穴の真上にいて。 「不思議の国へ、ごしょーた〜〜い♪♪」 重力に引っ張られる中、振り返った先で見たのは、 あの、変態兎。 しかも、ニヤリと厭らしく笑っていた。 「待ってるよ、ユーリvV」 ぼくのこと、捕まえてみて。 まるで、ハートを語尾に付けていそうな軽い調子で。 あの笑顔が、ウザイ。 「――貴様!この、人殺しーー!絶対に捕まえて、殴ってやる!!蹴ってやる!!死んだら化けて出てやるーー!!!!」 力の限り叫んでみても虚しく、私は穴の中へ真っ逆さま。 真っ暗な穴を落ちていく中、私の頭に浮かぶのはあの憎たらしい変態兎と、 私が餌をくれるのを待っているであろうテッドのことばかり。 あぁ……これじゃあ死んでも死にきれない。 何処かで聞いたような台詞を思い浮かべながら落ちていく私は、この先に、あんな不思議な世界があったなんて、 この時はまだ微塵も知る由もなかった。 To be continued...?? +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ アリスパロ、様子見で始動ww ユーリの名前をアリスにしようかと思ったけど、まんまにしてみました!ww アリスにしたらなんか、書いてる自分がよくわからなくなりそうだったから…((笑笑! 感想とか頂けたら、駄文で気紛れに更新してみよう……かな…← たいして書けてないのに、連載ものばっか書いててすみません…orzorz 10,01,09 [*前へ][次へ#] |