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桜並木の下で
3-1


 それは、桜の樹が葉桜へと変わるべく、はらはらと桜の花弁を舞い散らす中で。

 思わず、足を止める。




「…………」




 小さな掌で、傷付いた小鳥をそっと掬い上げて、
 彼女は優しく微笑んだ。




「……だれ…?」




 ふと、こちらに気が付いた彼女が小さく呟く。

 悪いことをしたつもりはないけれど、咄嗟に踵を返し、走り去る。




「………」




 彼女が、誰かがいたであろう場所で見たのは、未使用の真っ白な包帯。
 そして、そこから一瞬だけ見えたのは、


 春の空よりも鮮やかな碧だった。
















「最近ネ、ぼく、疲れているんだ…」

「ふぅん」

「なんかネ、休まる時がナイんだよね…」

「そう…」

「そうなの…」

「よかったな」




 明らかに無関心そうに呟く彼に我慢できず、ぼくは机を叩きながら、突っ伏させていた体を起こした。




「ぼくの話、全ッッ然聴いてないデショ?!」




 叫んでみたって、ユーリは相変わらず涼しげな顔をして携帯を弄っている。
 ぼくの顔なんて、1回も見やしない。




「聴いているよ。アレだろ?今朝、鳥のフンを頭に落とされたのだろう?」

「ホラ聴いてナイじゃん!てか、その内容で『よかったな』って返せマス?!」

「喧しいなぁ…」




 漸くユーリはぼくの顔を見る。
 だけど、すんごい不機嫌ネ。
 邪魔しやがって…的な。




「ナニその顔!ぼく邪魔?!」

「邪魔、煩い」

「ヒドイ…!……てか、さっきから誰とメールしてるのサ…」




 ぼくというモノがありながら酷いわ。
 なんて言いながら携帯を奪おうとしたら、ユーリはそれを素早く避ける。




「だめ。今、いいところ」




 なんて…!




「何が?!!」

「今、ザインが今日の帰りにケーキを奢ってくれると言うから場所を決めているんだ」

「何ソレ?!デート?!ちょ、浮気?!!」

「違う、ルリもシオンも、アリアも一緒だ」

「ナニそのハーレム!!てかなんでアイツとそんなに親しげなんだヨー!!!」




 浮気なんて酷いヨ!そう叫んだってユーリはすごく迷惑そうな顔して「五月蝿い…」って漏らすだけ。

 いやいや!
 彼氏としては黙ってられないでしょ!

 とかなんとか何時ものように言い合っていたら、突然頭を殴られた。




「五月蝿い黙れ変態」

「いぃっったー…!!」

「ロキ」




 恨めし顔を上げればそこにいたのは、ぼくの頭を確実に殴ったであろうその右手で未だに握り拳を作っているロキ。
 偉そうにぼくを見下ろす彼女の後ろで、アッシュが苦笑を浮かべている。

 なんで君はいつも魔女の暴力を止めてくれないんだい…。
 楽しんでるだろこの駄犬め。




「ユーリぃ!アッシュ君が虐めるヨー!」

「なんで俺っスか?!」




 ロキとアッシュから隠れるようにユーリに抱き着くと、ユーリは呆れたように溜息を吐いた。
 そんな彼に、いつもの笑みを返した瞬間。




「こンの、変態ヤロー!ユーリに纏わり付くんじゃねーよ!」




 扉を勢いよく開けて登場したシオン。

 因みに、ぼくの最近の疲れの原因は、彼。
 ユーリとイチャイチャする度に、何故だか何処からともなく登場しては、ぼくとユーリの仲を引き裂こうとするんだ。
(アレは絶対、体の中にユーリの居場所を感知するレーダーか何かがあるに違いないよ…)

 しかも、ユーリがいない所では喧嘩まで吹っ掛けてくる。



 ねぇ、君、ぼくとユーリの仲を認めてくれるんじゃなかったっけか?!




 いつの間にかシオンも輪の中に混ざって、何故だかユーリの取り合い。
 ロキとアッシュは少し遠巻きに眺めている。

 当のユーリなんか、もうどうとでもなれ…なんて、怒りを通り越して何処か遠くを見遣っている。



 まぁ、いつもの光景だよね。

 それで今日も終わるはずだったんだけれど……。







「……やっぱり、同じ色」







 ぇ…。


 と、その場にいた全員が微かに漏らす。


 そうして、弾かれたように視線を向けた先にいたのは、黒髪の女のコ。
 その儚げな印象を受ける彼女は、何故か真っ直ぐとぼくを見詰めている。



 名前は、なんだったっけ…。



 まだこの学園に転校してきて1週間程度しか経っていないから、失礼なんだけれど、名前が判らなかった。
 そうしたら、ロキが小さく「かごめ?」と呟いた。


 ……ふぅん?かごめ、ちゃん、ねぇ…?
 どうしたんだろ。


 なんて考えていたら、その子はぼくの瞳を真っ直ぐ見詰めたまま。




「見つけた、青い鳥…」

「へ?」




 なんのコト?


 そう問う暇もなく、彼女に思いきり頭を殴られた。


 その先のことなんて、全く覚えていない。
 辛うじて、ユーリがぼくの名前を呼んだのが聞こえた気がするけど、それすら酷く曖昧で……どうだろう。



 これは後から聞いた話だけど、あの直後ぼくはその子に引きずられ、その子と教室を出ていってしまったらしい。

 最近の女のコは強いなぁ…。



 それから、これも後から聞いた話なんだけれど…。





「…………シオン、これから私と付き合ってくれないか」

「……ぇ、あぁ……うん。いい、よ?どっか行くの?」

「いや、そうじゃなくて、」




 突然のことで皆が呆然とする中で、ユーリは抱き着いていたシオンの手を取って。




「これから、私とラブラブなこと、しようか」

「Σぶっ?!」

「ぇ…」

「Σユーリ…?!何言ってんスか?!」




 嬉しすぎて混乱しているシオンと、怒りでやけにニコニコしたユーリの禁断の交際がスタートしてしまっていたらしい…。




 ちょっと待ってヨー!!!!












蒼翠でも黒赤でも紫黒でもスマユリ←緑でもなく、かご→スマユリでしt((殴ww

そういえば、学パロ始めたばかりの時に、この話も書きたいって思ってたんだよなーというのを思い出しまして。
(学パロ考えたばっかりの時は更新にこんな時間がかかるなんて思ってなかったんだ…;;orz)


そんで、折角だからと書き出したらまたキャラが勝手にいろいろ暴走しました。
3話ほどで終わらす予定なんだけど、なんだか無理そうだ…wwworzorz


てか、ミズチが登場させるキャラは皆KYになる不思議ww
ミズチがKYな所為だねwwwずーんww



どうぞ、宜しければまたgdgdなお話にお付き合いしてやって下さいませ。。。
そして何年経っても春から季節が全く移行しないことはスルーの方向で←←




10,03,20





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