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桜並木の下で
2-13


 あれから何時間経っただろう…。



 携帯で時間を確認しようにも、その暇さえも与えてくれないもんだから全く解らない。

 まぁ、1時間は軽く越えてますよね?
 下手したら2時間近くなるんじゃないですか?


 てゆか、段々勝負の主旨が判らなくなってきて、
 今じゃ何故かユーリとシオンが対戦してます。



 アレ?何故だろう?



 ぼくは苦笑いを浮かべ2人を見守り、コウはシオンにちょっかいを出している。


 あ、そうだ。時間…。

 そこで漸く思い出したように時間を確認すれば、もう6時を過ぎようとしていた。
 ははっ…2時間越えてたよ。




「ちょ、ユーリ…!オレが真後ろにいたのにバナナの皮後ろに置くなんてズリィ!」

「たまたまじゃね?」

「…す、すまん。よくわからんが押してしまった…;;」

「ビギナーズラックみたいな感じカナ?」




 結局そのままユーリが1位でゴールイン。
 シオンは悔しそうにユーリに抱き着いていた。

 なんか、この2人のじゃれあいって癒しだよねぇ。
 なんて隣のコウに言ったら「天然カップルみてぇな」って笑っていた。

 うん。確かにそんな感じ。




「スマ、次はお前と勝負だ!」

「イイよ〜。ナニする?」

「んじゃ、オレらは隣でシューティングすっか」

「ぇ、やだ。オレ、ユーリと一緒に…」

「ほれ、やるぞー」




 そうして隣でシューティングを始めた2人。

 ぼくはユーリに腕を引かれ目を逸らしてしまったから気付かなかった。



 その時、シオンが今までとは全く違う表情でぼく達を見詰めていたことに。












「だー!!なんでオレ1回も勝てねぇんだよ!」




 最後にもう一度シオンと対戦したけれど、シオンは結局ぼく相手には惨敗していた。
 ユーリとコウとでは五分五分くらいだったかな?




「腕鈍ったんじゃね?」




 面白いものが見れたと愉しんでいるコウ。




「まぁ、そんな日もあるさ」




 そう言うユーリの両手には沢山のぬいぐるみ。
 ぼく達が取ってあげたのとか、ぼく達が目を離した隙に知らない人に貰っていたやつだ。


 大漁ですね。




「でも楽しかったからイーじゃない〜」




 お財布は少々寂しくなりましたが。
 なんて笑いながらシオンの頭を撫でてあげたら払われてしまった。

 しかも、睨み付かれた…。

 うーん………飼い馴らすにはまだまだ時間がかかりそうだねぇ。


 あからさまにぼくから距離を取り、警戒しながらユーリの後ろへ隠れる様は本当に小型犬にしか見えない。



 すると、不意に背後でぼくの名前を呼ばれた。





「――スマイル、お前らまだいたのか?」





 皆で見遣った先にいたのは、ゲーセンの制服に身を包んだザイン。
 一瞬理解できず、固まってしまった…。




「ぇ、ナニ君、ココでバイトしてたの?」

「高校生ってゲーセンオッケーなんか?」

「ぅわ。それ言うなよ。誤魔化してやってんだから」




 慌ててシオンの口を押さえるザイン。
 そういえばさっき、トランシーバーの電源切ってたね。


 へー……なんて皆で見ていたら、居心地悪そうに彼は舌打ちをしていた。




「あれ、でもお前、この前違うとこでもバイトしてなかったか?いくつ掛け持ちしてんだよ」

「……うるせ」




 何やら話し始めたザインとコウ。

 おや、意外にも仲よさげ?
 そう思っていたらユーリが、「確か同じクラスだったと思うぞ」って教えてくれた。




「てかお前らそろそろ帰った方がいいぞ。さっきからオーナーに目ぇ付けられってから」




 ここ、商店街の中だろ?
 だから学生に対して時間とか厳しいんだよ。

 ぼくにそう耳打ちして、ぼくらの背中を押して出口へと向かわせる。




「ぁ、そだ。ユーリとチビ」

「チビじゃねぇ!」

「帰るついでに出口辺りでパンダ抱えてるルリも一緒に連れて帰ってくんね?」




 オレ、まだ終われそうもねぇからさ。



 そう言われ、ザインと別れてからそのまま出口へと向かうと、出口らへんのUFOキャッチャーの前で、数人の男性に囲まれている黒髪の子を見つけた。
 その腕にはパンダのぬいぐるみを抱えていて。


 あれが、ルリって子?
 なんか……ユーリとシオンに似ているなぁって思っていたら、2人が「ルリ」と呼んで、その子がこちらを振り向いた。



 ぅあ……なんだろ。

 ユーリよりもおっとりしていて、なんか儚い感じで綺麗だなぁとかって思っていると、

 その子がぼくを見るなり眉根を寄せた。



 あら?不機嫌?
 でもそんな顔も可愛いなぁw



 そう思ったのも束の間。

 人だかりを押し退けてズカズカとこちらへ歩いてきたその子はぼくの目の前で止まり。





「……一発、殴らせろ」





 へ?
 と漏らす暇もなく殴られました。
 いや、マジで。

 たぶん本気じゃないだろうけど、それなりに痛かったデス。

 
ぼく、初対面の子に殴られたの初めてだよ…。



 咄嗟によろけたぼくを支えてくれたコウと見遣った先では、ルリって子がユーリとシオンをぎゅうぎゅう抱き締めてぼくを睨んでいる。





 ……あぁ、そゆこと。

 なんかもう………障害がありすぎる。



 今更だけど、

 ぼくの好きになったお姫様はどうも過保護すぎる護衛達に護られているようです。




 や。諦めないけどね…!













あれ?
予定となんか違う。

まぁ、いっか。
いつも好き勝手やりすぎで予定も何もないから←←

予定ではあと1、2話で金ユリの絡みは終了♪♪



あ、黒ユリってスマの顔面をグーで殴りそうだよね((笑笑!





09,10,17




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