[携帯モード] [URL送信]

桜並木の下で
2-12


「……うるさ」

「ゲーセンだからねぇ…」




 ヒヒッと笑えば、隣でユーリは明らかに嫌そうな顔をしていた。
 路上駐車させたバイクに寄り掛かり、そんな彼の頭を撫でてあげたら払われてしまった。


 あらヒドイ。




「……まだ中に入っていないのに、すでに耳が痛い…」

「まぁ大丈夫だよ。中に入ったら入ったで嫌でも慣れるし」




 はぁ…と、ユーリが溜息を吐いた時タイミングよく、この1日ですっかり聞き慣れてしまった声が聞こえてきた。

 あぁ、来た来た♪

 つられるように2人でそっちを見遣れば、紅い髪の男がチャリを漕いでいて、その後ろに目映い金髪が見えて…。




「コウのバーカ!負けたじゃねぇか!」

「るっせぇな。振り落とすぞ」




 そう言って、コウはチャリをわざと揺らした。
 後ろのシオンは落ちそうになりながらもまだ何か言っている。

 あれはそのうち本当に振り落とされそうだ。




「仲イイね、あの2人」

「まぁ、アッシュの兄弟達とは家も比較的近くて幼馴染みのようなものだからな」




 ふぅ…と、耳を押さえながら溜息を吐いたユーリに、微かにムッとする。



 じゃあ、ユーリは犬君とは幼馴染みなんだ…。



 ぼくはユーリと一緒に2人の方へ寄りながら、明日犬君と何して遊ぼうかなぁとか考えていた。

 だって、そんな前からユーリと…………気に入らないw




「ったく……なんだってオレがこんな…」

「はは…、お疲れ」

「ヒヒヒッ。随分と遅かったねぇ…?」

「るせぇなぁ。あいつがおっせぇのがワリィんだよ」

「ホントに落としてやればよかった…」

「まぁまぁ……済まなかったな、コウ」




 たぶん訳もわからず足に使われただろうコウに、ぼくとユーリは苦笑しか返せなかった。



 ホント、お疲れサマ。
 補導されなくてよかったね。




「ぅら!そこの変態!とっとと中に入って勝負すんぞ!」




 こんな商店街で変態呼ばわりはヒドイんじゃないかなぁ。

 まぁ、可愛いから許してあげるけど。




「ハイハーイ」

「なに、まだなんかやんのかよ?」

「あぁ……まぁ…」




 じゃ、まずは手始めにシューティングかな?

 そう言えば、シオンは奥にあるシューティングの方へ連れていってくれた。
 何処にでもよくある、2人でゾンビやら何やらを撃ちながら進んでいくやつだ。




「最後まで残ってた方が勝ちな。んで、最後まで両方生きてたら点数勝負」

「ン。りょうかーい」




 2人でお金を入れて、玩具の銃を持って、いざ勝負。
 ちらりと後ろを見たら、コウがなんか呆れたような顔をしていて、ユーリは煩さで眉根を寄せていた。














「―――…Σんぎゃぁ!!」




 シオンの悲鳴と共に、ラスボスが与えたダメージによって彼のキャラのゲージが尽きた。
 因みにもう生き返れません。
 ご臨終です。




「イヒヒ!終わっちゃったネ」

「……っ、うるせぇな!てめぇも終わっちまえ!」

「大丈夫。ぼくまだ1回も死んでないからw」

「死ねぇーー!!」




 視界の端で、暴れるシオンをコウが後ろから羽交い締めにして押さえているのが見える。



 いやー。

 楽しいです。

 ホントに飽きません。




「はい、クリアー♪」

「ぉお……凄いな、スマイル」




 ぉ?今までで1番点数がイイんじゃない?


 点数を眺め名前を適当に入力して(1位取れちゃった★)、流れるEDから視線を逸らしながら手にしていた玩具の銃をもとの場所に戻していたら、ふとユーリが隣へ並んできた。




「マァネ。隣に可愛い子がいるから余計にじゃないカナ?」




 なんて、ニッコリ笑いながらユーリの顎に指を添えれば、後ろでシオンの吠える声が聞こえてきた。
 でも、楽しいからやめないでいたら。




「…だから、シオンはやらんて…」

「や……そぉじゃなくてネ…」

「へ?」

「イエ……ナンデモ…」




 …………駄目だ。

 この子…………天然すぎて敵わない…orz




「おい、変態!次はマリカーな!」

「ぇー、まだやるの?」

「誰も1回勝負だなんて言ってない!」




 別にイイけどさー。

 でもきっとまたぼくが勝っちゃうよ?



 そう思っている間にもシオンはちゃっちゃと移動していて、ユーリはそれについていく。
(たぶん物珍しいんだろうね)


 なんとなく、シオンを眺めていたコウへ視線を移せば、彼はぼくの視線に気付いたのかこちらを向いた。




「まぁ、アイツ……見てわかるように負けず嫌いだからな」



 しかも、賭けてるもんがアレだしな。



 そう言って2人で見遣った先には、ぼくらが行くのが遅いから、シオンとユーリがUFOキャッチャーで遊んでいて。




「アイツ、ブラコンなんだよ」




 しかも、超ド級の。




 …………うん。

 知ってます。




 このあともいくつか勝負して、気付けば1時間は経っていました。
(全部ぼくが勝ってます)




「もっかい!次はアレだかんな!」




 いつお家に帰れるだろう…。












やっと終われる………かな?

次回で紫と黒を出したいんだけど、………出るかな?




09,10,05




[*前へ][次へ#]

33/38ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!